1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11670247
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
丸山 治彦 名古屋市立大学, 医学部, 助教授 (90229625)
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Keywords | 線虫 / 糞線虫 / ヘパリン / プロテオグリカン / 肥満細胞 / 排除 |
Research Abstract |
本研究の目的は、糞線虫症に対する経口ワクチンの開発のために、ネズミにおける実験感染の系を用いて、ワクチン候補蛋白質遺伝子をクローニングし、ワクチンとしての有効性を検討することである。初年度には糞線虫の腸管粘膜侵入の際に重要な働きをしていると考えられる成虫由来ヘパリン結合性接着物質の同定を行なった。 まず全ての実験の前提として、ワクチン候補物質である成虫由来のヘパリン結合性接着物質と成虫の寄生との関係を詳しく調べた。その結果、ヴェネズエラ糞線虫は、宿主腸管粘膜の肥満細胞の働きによって成虫の粘膜侵入が阻止されるために宿主腸管からの排除され、そのエフェクター物質は肥満細胞顆粒中のコンドロイチン硫酸プロテオグリカンであること。排除のメカニズムは、コンドロイチン硫酸プロテオグリカンが成虫が分泌するヘパリン結合性接着物質と腸上皮細胞の結合を阻害すること、を証明した。肥満細胞が虫体の排除に重要であることは以前から知られていたが、我々はさらに進んで、肥満細胞増多の原因がヴェネズエラ糞線虫とは全く関係のない場合でもヴェネズエラ糞線虫虫体は腸管粘膜に侵入できないことを明らかにした。 次に、研究開始前の予備実験で、ヴェネズエラ糞線虫成虫の粗抽出抗原中にはヘパリン結合活性が証明され、この活性が概ね分子量17から40kDの蛋白に認められることを確認していたが、その中のどれが口端から分泌されるものかを明らかにする必要があった。このために、感染後様々な時期の虫体を用いて、粗抽出抗原中のヘパリン結合活性と腸管侵入の関係を調べた。その結果、ヘパリン結合性接着物質の分泌能は幼若虫体と排除の時期の虫体では全く差はなく、両者に共通して産生されているヘパリン結合活性は分子量約42kDであることが分かった。このことからクローニングすべき目的物質は42kDのタンパクであると考えられ、現在、このタンパクの精製などを進めているところである。
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[Publications] Zhang R, Suzuki T, Takahashi S, Yoshida A, Kawaguchi H,Maruyama H, Yabu Y, FuJ, Shirai T & Ohta N,: "Cloning and molecular characterization of calpain, a calcium-activated neutral proteinase, from defferent strains of Schistosoma japonicum"Parasitology International. 48. 233-242 (2000)
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[Publications] Maruyama H, Yabu Y, Yoshida A, Nawa Y & Ohta N.: "A role of mast cell glycosaminoglycans for the immunological expulsion of intestinal nematade, Strogyloides venezuelensis"Journal of Immunology. 印刷中.
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[Publications] Maruyama H, Osada Y, Yoshida A, Futakuchi M, Kawaguchi H, Zhang R, Fu j, Shirai T, Kojima S & Ohta N.: "Protective mechanisms against the intestinal nematode, Strogyloides venezuelensis, in Schistosoma japonicum-infected mice"Parasite Immunology. 印刷中.