2000 Fiscal Year Annual Research Report
日本人重症マラリア患者に対する適正療法確立に関する薬物動態学的研究
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11670252
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
大友 弘士 東京慈恵会医科大学, 医学部, 教授 (80072916)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木村 幹男 国立感染症研究所, 感染症情報センター, 室長 (90114462)
渡辺 直熙 東京慈恵会医科大学, 医学部, 教授 (00057019)
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Keywords | 重症熱帯熱マラリア / 抗マラリア薬 / メフロキン / 治療 / 薬物動態 / 適正化 / 日本人症例 / HPLC |
Research Abstract |
1980年代に開発されたメフロキンはクロロキン耐性熱帯熱マラリアにも有効な抗マラリア薬としてすでに多くの国々で臨床使用されており、WHOの必須薬剤リリストにも収録されている。経口錠として開発された本剤の生体内有効利用率は85%以上であるが、最近の知見によれば、その体内動態は人種、病態により変動するとされている。しかし、本剤は熱帯病研究班から入手することは可能であるが、国内未承認の希少薬に属するため、薬物情報に乏しいのが現状である。そこで、日本人患者、特に重症患者に対するメフロキンの適正療法を確立する目的で、メフロキンの迅速定量法を確立し、薬物動態学的検討を加えた。 1.高速液体クロマトグラフィー(HPLC)によるメフロキンラセミ体の定量法を確立し、治療目的でメフロキンを1,000mg投与した患者の薬物動態を検討した。その結果、若干の個体差が認められたが最高血中濃度到達時間は4〜6時間、最高血中濃度は1,000ng/mL前後となり、消失半減期は14日間前後であった。また、これらの薬物動態パラメータ値に関しては、他の報告と比較した結果、消失半減期は欧米人より短縮する傾向がみられた。 2.WHOはメフロキンの投与量を無免疫患者には25mg/kgとしているが、15mg/kgで有効治療濃度を十分維持し、治療後の再燃は皆無であった。 3.最近はアルテミシニン誘導体のアーテスネートの投与を先行させ、メフロキンを追加する療法が案出されているが、この併用療法を実施した結果、アーテスネート投与後6〜12時間で熱帯熱マラリア原虫に変性像がみられ、病悩期間が短縮する印象を受けた。また、メフロキンの体内動態に影響を及ぼさなかった。
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[Publications] 大友弘士: "最も適切な感染症療法 原虫症"小児科. 41. 853-858 (2000)
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[Publications] 水野泰孝,大友弘士 ほか: "本邦における小児マラリアの概況-過去20年間の輸入症例における検討-"感染症誌. 74. 694-698 (2000)
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[Publications] 大友弘士: "マラリアとデング熱"Modem Physician. 30. 1375-1377 (2000)
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[Publications] 大友弘士,木村幹男: "輸入熱帯病や寄生虫症の治療に必要なき要約の入手法について"治療. 81. 1037-1040 (2000)
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[Publications] 木村幹男,大友弘士 ほか: "旅行者によるマラリア診断キット使用の問題"日熱医会誌. 28. 1-7 (2000)
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[Publications] 大友弘士,狩野繁之: "感染症治療ガイド マラリア"治療. 82. 940-942 (2000)
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[Publications] 大友弘士: "今日の治療指針2001"多賀須幸男,尾形悦郎,山口徹,北原光夫. 2 (2001)
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[Publications] 大友弘士: "新婦人科学薬物療法"玉舎輝彦. 6 (2000)