1999 Fiscal Year Annual Research Report
蠕虫感染による粘膜免疫の発現に関与する細胞表面分子
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11670253
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
渡辺 直煕 東京慈恵会医科大学, 医学部, 教授 (00057019)
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Keywords | IgE / 蠕虫感染 / NKT cells / Nippostrongylus / 小形条虫 / 粘膜免疫 |
Research Abstract |
寄生虫感染の免疫応答では、CD4T細胞とくにTh2細胞が主導的役割をもつ。このTh2細胞の活性化にはNKT細胞が大きく関与することが報告されている。本研究では、T細胞受容体Vα14が欠損することでNKT細胞を欠くマウスに消化管寄生虫Nippostrongylusを感染させ、免疫応答を検討した。Vα14欠損マウスではIgE産生、好酸球増多、感染防御のいずれも正常対照と同等で、これらの免疫応答の誘導にはNKT細胞が必要ないことが判明した。逆に、NKT細胞を受容体Vα14のリガンドであるガラクトシルセラミドで刺激するとIFN-γを介してIgE抗体産生が抑制されることが示された。 小形条虫の虫卵投与によって免疫したマウスは1000個の虫卵を再投与しても1隻の感染すら許さない強い防御能をもつ。本研究ではこの特異な消化管免疫の機序について検討した。防御を担う細胞について表面抗原を指標として解析した結果、CD4T細胞が必須で、CD8T細胞、NK細胞およびVα14をもつNKT細胞は関与しないことが明らかになった。再感染防御の誘導および機能発現にかかわるサイトカインとしてIL-12、IFN-γの作用は否定的であった。小形条虫は虫卵で感染すると小腸で六鉤幼虫となり、小腸壁に侵入し擬嚢尾虫となる。マウスの再感染防御能は、虫卵を投与した場合のみ賦与され、擬嚢尾虫の投与では賦与されないことから、免疫源および防御の標的は六鉤幼虫と考えられる。
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[Publications] Bruschi F, et al.: "Anaphylactic response to parasite antigens : IgE and IgG independently induce deth in Trichinella-infected mice"Int. Archs Allergy Immunol. 119. 291-296 (1999)
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[Publications] 渡辺直煕: "IgE欠損動物におけるアナフィラキシー反応と寄生虫感染防御"アレルギー科. 8. 60-64 (1999)
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[Publications] Cui J, et al.: "Inhibition of T helper cell type 2 differentiation and immunoglobulin E responses by ligand-activated Va14 natural killer T cells"J. Exp Med. 190. 783-792 (1999)