1999 Fiscal Year Annual Research Report
サルモネラ菌のマクロファージ内増殖に関わる新しいビルレンス遺伝子とそのメカニズム
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11670277
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Research Institution | Meijo University |
Principal Investigator |
打矢 恵一 名城大学, 薬学部, 助手 (70168714)
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Keywords | サルモネラ菌 / マクロファージ / ビルレンス遺伝子 |
Research Abstract |
Salmonella enterica serovar Typhimurium(S.Typhimurium)のSalmonella Pathogenicity Island 2(SPI-2)内に同定した病原性に関与する新規遺伝子,spiCの機能解析を平成11年度の研究実施計画に従って行った結果,以下のような新たな知見が得られた。 1.spiC発現の条件およびそのメカニズムの解明:(1)SPI-2にはS.Typhimuriumですでに同定されているphoP/phoQのような二成分制御系に属する調節遺伝子,ssrA/ssrBの存在が報告されており,spiCの発現はこのような調節遺伝子によって正に調節されていることがわかり,加えて先のphoP/phoQによっても影響を受けていた。(2)spiCの発現はstationary-phaseでのみ見られ,またマクロファージのファゴソーム内のような低Mg^<2+>(10μM)の条件で発現の増強が見られたが,高Mg^<2+>(10mM)では発現はまったく見られなかった。しかし,低pH(5.0)の条件では変化が見られなかった。2.PhagosomeとLysosome(P/L)の融合阻止のメカニズムの解明:SpiC蛋白がマクロファージの殺菌抵抗性に関与し,その機構がP/L融合の阻止であることがすでに示されているが,本蛋白が直接に関与しているか否か,in vitroでのCell-freeシステムの融合アッセイ系を用いて調べた結果,精製SpiC蛋白がその融合を阻止した。この結果から,SpiC蛋白が直接にP/L融合の阻止に関与していることが強く示唆された。3.SpiC蛋白と相互作用する宿主側の蛋白の同定:SpiC蛋白は,同じ領域内にコードされ存在するタイプIII分泌機構を利用して菌体外に分泌され,マクロファージの細胞質内に移行することがわかった。そこで現在,ツーハイブリットシステムの技法を用いて,SpiC蛋白と相互作用する宿主(マクロファージ)側の蛋白の同定を行っている。
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[Publications] Keiichi Uchiya 他: "A Salmonella virulence protein that inhibits cellular trafficking"The ENBO Journal. 18・14. 3924-3933 (1999)
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[Publications] Keiichi Uchiya 他: "Pathogenicity Islands and the Erolution of Salmonella Virulence"American Society for Microbiology, Washington, D. C. 24 (1999)