1999 Fiscal Year Annual Research Report
腸炎ビブリオの遺伝子伝搬における線維状ファージの役割の解明
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11670281
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Research Institution | University of Occupational and Environmental Health, Japan |
Principal Investigator |
谷口 初美 産業医科大学, 医学部, 教授 (00037483)
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Keywords | 腸炎ビブリオ / 線維状ファージ / Vf33 / O3K6 / O4K68 / VfO3K6 / VfO4K68 / 遺伝子伝達 |
Research Abstract |
1996年から東南アジア・アメリカで流行しているO3:K6型、及び散発事例のO4:K68型、01:KUT型腸炎ビブリオについて、西渕等はgenotypingを行い、これらは同一菌株の伝播によると報告した。何故O3:K6型が大流行を起こすのか、また何故異なる血清型で同一のgenotypeを有するのか、原因は不明である。我々が発見した線維状ファージVf33はgenetic transmitterの役割を持つ可能性が高い。そこで、これらの株と線維状ファージとの関係について調べた。これらの流行株は、線維状ファージVf33と類似遺伝子を有し、そのHybridization patternは同一であった。また、O3:K6及びO4:K68型株の培養上清からO4K12型株にのみ溶菌斑を形成するファージを分離した。これらのファージは長さ1,500nmと1,300nmの線維状ファージで、ゲノムは約8.5kbと7.0kbの一本鎖DNAであった。細胞内では2本鎖のReplicative formに変換し、染色体上にも組み込まれ、Vf33に極めて類似の性状を示した。O4K68型のファージDNAはO3K6の一部欠損したもので、これらは他の血清型の株や1995年以前の株には存在せず、この流行株に特異的なファージであった。一方、流行株以外にもHybridization patternは異なるが、類似遺伝子が存在することも見出した。今回の結果から、流行株には特異的なファージが存在し、流行との関連性の可能性が強く示唆されたとともに、流行株のみならず多くの腸炎ビブリオに様々な線維状ファージが存在し、菌株間の遺伝子伝達に関与している可能性が強く示唆された。
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