2000 Fiscal Year Annual Research Report
C型インフルエンザウイルスCM2蛋白のイオンチャネル活性に関する研究
Project/Area Number |
11670287
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Research Institution | YAMAGATA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
本郷 誠治 山形大学, 医学部, 助教授 (90229245)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松嵜 葉子 山形大学, 医学部, 助手 (00292417)
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Keywords | C型インフルエンザウイルス / CM2 / 翻訳後修飾 / イオンチャネル |
Research Abstract |
CM2は、11番目のAsnへの糖鎖の付加に加えて、3つの翻訳後修飾((1)パルミチン酸の付加(2)Ser残基のリン酸化(3)S-S結合によるオリゴマー形成)を受ける。これらの修飾部位の決定と各修飾の役割を解明するために、予測される修飾部位に変異を導入したCM2変異体をCOS細胞で発現させることにより以下の成績を得た。1)パルミチン酸は膜貫通領域と細胞質領域の境界部のCysに結合するとされるので、アシル化の標的候補はCys65である。そこで、Cys65をAlaに変えた変異体(C65A)を発現させたところ、この変異蛋白には^3H-パルミチン酸の取り込みが認められず、Cys65がアシル化の標的アミノ酸と同定された。2)リン酸化を受けるCM2のアミノ酸はSer残基である。CM2には、カゼインキナーゼもしくはプロリン依存性キナーゼの標的となりうるSerが、それぞれ2つ(78位,108位)と1つ(103位)存在する。そこで、これらの3つのSerの1〜3つをAlaに変えた変異体を作成し、リン酸化の程度を調べた結果、Ser78が強く、Ser103が弱くリン酸化されるのに対して、Ser108はリン酸化を受けないと結論された。3)CM2はS-S結合により2量体もしくは4量体を形成する。この結合に関与しうるCysは3つ存在する(1位,6位,20位)。そこで、これらのCysの1〜3つをAlaに変えた変異体を発現させ、非還元条件下のSDS-PAGEで解析し,次の3つの結論を得た。(1)3つのCysのすべてがオリゴマー形成に関与しうる、(2)2量体形成にはCys1よりCys6とCys20の方が使われ易い、(3)4量体形成にはCys20が不可欠である。4)C65Aとリン酸化部位を欠く変異体について、3)の方法により、オリゴマー形成の状態を調べた結果、アシル化がオリゴマー形成に影響を与えないのに対して、リン酸化は4量体形成を促進すると推測された。5)アシル化、リン酸化、S-S結合の各々を欠く変異体の発現細胞を膜蛍光抗体法で観察したところ、すべてが細胞表面に輸送されていた。膜蛋白の細胞表面への輸送には、然るべきオリゴマー形成が必須とされているので、S-S結合を欠くCM2でさえ、非共有結合に基づく4量体を形成しうるものと思われた。6)3つのCysのすべてを欠くCM2をchemical cross-linkerで処理することにより、2量体および少量の3量体と4量体が認められ、非共有結合によるオリゴマー形成の存在が明らかになった。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Matsuzaki,Y.: "Characterization of the antigenically unique influenza C strains isolated in Yamagata and Sendai Cities, Japan during 1992/1993"J.Gen.Virol.. 81・6. 1447-1452 (2000)
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[Publications] Alamgir,A.S.M.: "Phylogenetic analysis of influenza C virus nonstructual (NS) protein genes and identification of the NS2 protein"J.Gen.Virol.. 81・8. 1933-1940 (2000)
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[Publications] Li,Zhu-Nan: "The sites for fatty acylation, phosphorylation and intermolecular disulphide bond formation of influenza C virus CM2 protein"J.Gen.Virol.. 82(in press). (2001)