1999 Fiscal Year Annual Research Report
狂犬病ウイルスのヌクレオプロテインのりん酸化の意義について
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11670293
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
河合 明彦 京都大学, 薬学研究科, 教授 (70027332)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
栃倉 匡文 京都大学, 薬学研究科, 助手 (10291428)
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Keywords | 狂犬病ウイルス / ヌクレオプロティン / RNA結合タンパク質 / りん酸化 / ヌクレオカプシド / りん酸化タンパク質 / モノクローナル抗体 |
Research Abstract |
本研究課題は狂犬病ウイルスのRNA結合タンパク質であるNタンパクのりん酸化の意義を明らかにするものである.1)まず,この解析に用いたNタンパクを認識する種々のモノクローナル抗体のNタンパク認識の要件を調べた.その結果,りん酸化されたNタンパクのみを認識するモノクローナル抗体,およびRNA結合により熟した形状を取るNタンパクのみを認識するモノクローナル抗体に分類された.2)次に,これらのモノクロ一ナル抗体を用いて,Nタンパクのりん酸化がRNAと結合する前か後であるかについて明らかにした.まず,これらのモノクローナル抗体を用いてRNAに結合していないNタンパクおよびRNAに結合してヌクレオカプシドを形成したNタンパクに分け,モノクローナル抗体との反応性を調べた.その結果,合成されたばかりのNタンパクはまずPタンパクと結合し,りん酸化されないうちにRNAと結合しヌクレオカプシドを形成することが分かった.この実験結果はりん酸化されなくしたNタンパクの変異体を用いた実験からも確認できた.3)さらに、Nタンパクのりん酸化はRNAと結合してから行われることを明らかにした.4)また,高塩濃度下で界面活性剤を用いてヌクレオカプシドからりん酸化されたNタンパクをひき剥がすと,Nタンパクはりん酸基をつけたままで構造が元に戻り,モノクローナル抗体との反応性を失うことが分かった.5)さらに,最近になってNタンパクとPタンパクの結合体を認識するモノクローナル抗体を得ることができた.6)そこで,これを用いて実験を行ったところ,Nタンパクのりん酸化がPタンパクとの結合性の安定化に寄与することが示された.
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Research Products
(8 results)
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[Publications] 坂本信一: "Studies on the structures and antigenic properties of rabies virus glycoprotein analogues produced in yeast cells"Vaccine. 17(3). 205-218 (1999)
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[Publications] 中原宏一郎: "Intracellular behavior of rabies virus matrix protein(M) is determined by the viral glycoprotein(G)"Microbiology and Immunology. 43(3). 259-270 (1999)
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[Publications] 山本憲太朗: "Association of cellular 21-KDa transmembrane protein (VAP21) with enveloped viruses"Microbiology and Immunology. 43(5). 449-459 (1999)
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[Publications] 坂口剛正: "Double layered membrane vesicles released from mammalian cells infected with Sendai virus expressing the matrix protein of vesicular stomatitis virus"Virology. 263(1). 230-243 (1999)
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[Publications] 河合明彦: "Nucleocapsid formation and/or subsequent conformational change of the rabies virus nucleoprotein(N) is a prerequisite step for acquisition of its phosphatase-sensitive epitope recognized by monoclonal antibody 5-2-26"Virology. 263(2). 359-407 (1999)
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[Publications] 玉藤秀男: "Mapping of epitopes of structural analysis of antigenic sites in the nucleoprotein of rabies virus"Journal of General Virology. 81(1). 119-127 (2000)
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[Publications] 畑中正一: "微生物学"文光堂. 637 (1999)
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[Publications] 黒川清: "内科学"文光堂. 2233 (1999)