1999 Fiscal Year Annual Research Report
ヒトヘルペスウイルス6(HHV-6)の潜伏感染機構の解析
Project/Area Number |
11670296
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
近藤 一博 大阪大学, 医学系研究科, 助教授 (70234929)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
多屋 馨子 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (80263276)
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Keywords | サイトメガロウイルス / ヒトヘルペスウイルス6 / ヒトヘルペスウイルス7 / 潜伏感染 / 再活性化 / 潜伏感染遺伝子 |
Research Abstract |
これまでに我々は、ヒトサイトメガロウイルス(HCMV)の潜伏感染遺伝子を同定していたが、今回新たに、HCMVとおなじβヘルペスウイルス亜科に属するヒトヘルペスウイルス6(HHV-6)とヒトヘルペスウイルス7(HHV-7)の潜伏感染遺伝子を同定した。これらの潜伏感染遺伝子は、各々のウイルスの前初期遺伝子ie1/ie2の領域にコードされており、ie1/ie2と同方向にコードされるsense transcriptと、反対方向にコードされるantisense transcriptが見出された。HHV-6における検討では、これらのtranscriptsはウイルス遺伝子陽性細胞の1%から4%程度で発現していた。また、antisense transcriptは、再活性化の初期にその発現の誘導が観察され、この遺伝子または遺伝子にコードされる蛋白が、ウイルスの再活性化の際に機能することが示唆された。 これらの遺伝子上に存在する蛋白の機能を検討するために、Yeast Two-hybrid screeningを11個のORFに対して行った。この結果、HCMV,HHV-6,HHV-7のantisense transcriptにコードされている152アミノ酸、160アミノ酸、97アミノ酸からなるHCMV ORF152,HHV-6 ORF160,HHV-7 ORF97がいずれもカルシウムシグナルに関係する宿主蛋白calcium signal modulating cyclophilin ligand(CAML)に結合し、その機能を抑制することが判明した。これらの結果は、βヘルペスウイルスの再活性化シグナル伝達には、CAMLが関係すること及びantisense transcriptが再活性化の初期に再活性化シグナルを阻害することによって潜伏感染を安定化させるという可能性を示唆する。
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Research Products
(1 results)