1999 Fiscal Year Annual Research Report
ウイルス感染細胞に誘導されるアポトーシスについてのウイルス学的研究
Project/Area Number |
11670298
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
小山 一 徳島大学, 医学部, 助教授 (80109074)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
足立 昭夫 徳島大学, 医学部, 教授 (90127043)
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Keywords | アポトーシス / ウイルス / アポトーシス抑制遺伝子 / 抗ウイルス作用 |
Research Abstract |
ウイルス感染にともなうアポトーシスについて、主としてその生物学的意義に的を絞り解析した。ウイルス感染細胞にアポトーシスが誘導されるとウイルス増殖は中断すると考えられていた(非特異的な感染防御機構)。しかし、(1)水疱性口内炎ウイルス(VSV)やインフルエンザウイルス感染細胞でのアポトーシス誘導とウイルス増殖とのカイネティックスを定量的に比較した結果、これらのウイルスではアポトーシスの誘導より早く増殖を完了することにより、ウイルス増殖中断を克服していること、しかし、(2)炎症性サイトカインである腫瘍壊死因子(TNF)は感染細胞でのアポトーシス誘導時間を短縮することによりウイルス増殖を抑制すること(抗ウイルス作用)を見出した。 一方で、我々の開発したソルビトールによるアポトーシス誘導系を用いて、(1)動物ウイルスでは、昆虫ウイルスの場合とは異なり、感染細胞にアポトーシスが誘導されてもウイルスはかなり増殖できること、(2)HSV-1やHSV-2など遺伝情報量の多いDNAウイルスでは、複数のアポトーシス抑制遺伝子を獲得することによりアポトーシスによるウイルス増殖中断を克服していること、を明らかにした。HSVの場合、このアポトーシスの誘導にはウイルスのUS3遺伝子が関与している。 これらの結果から、動物ウイルスの感染におけるアポトーシスの役割は、感染細胞死による増殖中断だけではなく、感染細胞をマクロファージの標的と変えることによりウイルス感染防御機構として働く点にあると考えている。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Koyama,A.H.: "Comparison of an antiviral activity of recombinant consensus interferon with・・・・."Microbes and Infection. 1. 1073-1077 (1999)
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[Publications] Hata,S.: "Antiapoptotic activity of herpes simplex virus type 2:the role of US3 protein・・・・."Microbes and Infection. 1. 601-607 (1999)
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[Publications] Kurokawa,M.: "Influenza virus overcomes apoptosis by rapid multiplication."International Journal of Molecular Medicine. 3. 527-530 (1999)
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[Publications] Adachi,A.: "Activation of HIV-1 enhancer sequence by vaccinia virus."International Journal of Molecular Medicine. 3. 311-313 (1999)
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[Publications] Iida,S.: "Compatibility of Vpu-like activity in the four groups of primate immunodeficiency・・・."Virus Genes. 18. 183-187 (1999)
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[Publications] Akira,H.: "Pseudotyping HIV-1 by vesicular stmatitis virus G protein does not reduce the・・・・."Journal of General Virology. 80. 2945-2949 (1999)