2000 Fiscal Year Annual Research Report
血球特異的なチロシン脱リン酸化酵素による新しい負の制御機構の解析
Project/Area Number |
11670318
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
緒方 正人 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (60224094)
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Keywords | チロシンホスファターゼ / LC-PTP / MAPキナーゼ / リンパ球 / ERK / p38 |
Research Abstract |
免疫系は生体防御に有用な一方で、その異常亢進は様々な免疫病を引き起こし生命のリスクとなる。従って、免疫系を負に制御する機構は重要と考えられる。LC-PTPは、リンパ球に選択的に発現するチロシン脱リン酸化酵素(protein tyrosine phosphatase,PTP)で、MAPキナーゼ(MAPK)と結合し、これを直接抑制する。本年度は、LC-PTPの制御機構について以下の点を明らかにした。 (1)発現制御機構の解析。LC-PTPに対するモノクローナル抗体を作成し、マウス正常Tリンパ球での発現を検討した。LC-PTPタンパクは、抗原受容体(TCR)刺激前から存在していたが、TCR刺激後ゆっくり増加し、2〜3日でプラトーに達した。これは、mRNAの変化とほぼ並行していた。CD44^<high>のメモリーT細胞でも、LC-PTPは増加していた。 (2)リン酸化による制御。Tリンパ球の抗原受容体刺激後、LC-PTPがリン酸化されること、それが、MEK(MAPKK)阻害剤で抑制されることを明かにした。LC-PTPのリン酸化は、活性型MEKと野生型ERKの共発現でも生じたが、酵素活性のない変異型ERKでは生じなかった。LC-PTPのThr66とSer93をAlaに置換するとリン酸化は殆ど認められず、主要リン酸化部位と考えられた。この変異型LC-PTPは、in vivoでのERK抑制作用が減弱しており、リン酸化に調節的な意義があると考えられた。 (3)sem型MAPKのJurkat細胞での機能亢進。LC-PTPと結合せず抑制を受けない、sem型変異を導入したp38を作成した。内在性LC-PTPを発現するJurkat細胞で、sem型p38は野生型p38に比べて機能亢進を認め、MAPK抑制機構の意義を検討する上で有用なプローブと考えられた。
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[Publications] Yasuda,K., et.al.: "Serine 6 of LCK tyrosine kinase : a critical site for Lck myristoylation, membrane localization, and function in T lymphocytes."J.Immunol.. 165. 3226-3231 (2000)
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[Publications] Kosugi,A., et.al.: "Involvement of SHP-1 tyrosine phosphatase in TCR-mediated signaling pathways in lipid rafts : Targeting of activated SHP-1 to lipid rafts induces a defective function of LAT and impairs T cell activation after TCR engagement."Immunity. (in press). (2001)