1999 Fiscal Year Annual Research Report
SSI-1ノックアウトマウスを用いたサイトカインシグナル伝達におけるnegative feedback機構の解明
Project/Area Number |
11670320
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
仲 哲治 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (30303936)
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Keywords | Cytokine / Jak / Stat / SSI / SOCS / CIS / TNF-α / IFN-γ / IL-4 / Negative feedback |
Research Abstract |
SSI-1(STAT-Induced STAT Inhibitor-1)は、1997年にわれわれが単離し、その機能を明らかにした。SSI-1のin vitroでの機能は、サイトカインにより誘導され、サイトカインシグナル伝達の主要な因子であるJAKの活性を制御する新規のnegative feedback factorである(Nature: 387,924-929,1997)。そして、われわれはSSI-1の生体における機能を探るべくSSI-1 KOマウスを作成し解析を行った。その結果、SSI-1 KOマウスにおいては、リンパ球,心臓、肝臓などのSSI-1発現臓器が加齢とともにアポトーシスを起こすことが判明し、SSI-1がin vivoにおいて、細胞の生存に必須の分子であることが明らかになった(PNAS:95,15575-82,1998)。その後のSSI-1 KOマウスの胎児線維芽細胞を用いた解析などにより、SSI-1はTNF-αが誘導するアポトーシスシグナルの抑制分子でもあることが解明された。興味深いことに、SSI-1はTNF-αの下流において細胞の生存に働くシグナル伝達分子の1つであるp38の活性化を促進させることにより、TNF-αが誘導するアポトーシスを制御していることが明かとなった(PNAS:投稿中)。これは、今までに知られているSSI-1のJAK-STATの抑制メカニズムでは説明できず、新たなSSI-1の機能および作用機序を示すものである。同時に、われわれは、SSI-1のJAKおよびサイトカインに対する特異性を解明するために、SSI-1を胸腺で強制発現させたSSI-1 Tgマウスを作成し解析を行った。その結果、SSI-1 Tgマウスはγcレセプターの欠損マウスと同じフェノタイプを示すことが分かった。また、SSI-1 Tgマウスの胸腺細胞をIFN-γ,IL-4,IL-6などのサイトカインで刺激し、JAKの下流の分子であるSTATのリン酸化を解析したが、すべてのSTATのリン酸化が抑制された。これらの結果により、SSI-1はサイトカインやJAKに対する特異性を有さないと考えられた(J.Immunol:投稿中)。
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[Publications] Naka T.,M.Fujimoto,T.Kishimoto: "SSI-1(STAT-Induced STAT I nhibitor-1); Negative regulation of Cytokine signaling"Trend in Biochemical Science. 24. 394-398, (1999)