2000 Fiscal Year Annual Research Report
シグナル伝達分子α4のコンディショナルジーンターゲティングによる機能解析
Project/Area Number |
11670326
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Research Institution | KUMAMOTO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
乾 誠治 熊本大学, 医学部, 助教授 (70243384)
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Keywords | B細胞 / 抗原受容体 / シグナル伝達 / α4 / ジーンターゲティング / 免疫抑制剤 / ラパマイシン |
Research Abstract |
α4は、B細胞抗原受容体(BCR)からのシグナル伝達に関与する分子としてわれわれがクローニングした分子であり、ヒトから酵母までよく保存されている。α4遺伝子の発現はubiquitousであり、酵母のα4相同遺伝子Tap42の破壊が致死的であることよりマウスでもα4遺伝子の破壊が致死的であると考えられた。そこでα4のB細胞における機能を明らかにする目的でCre/loxPシステムを用いてコンディショナルジーンターゲティングを行なった。α4遺伝子のエキソン1、2の両側にloxP部位を持つα4floxマウスを作製した。α4遺伝子はX染色体上に存在するのでα4 floxマウスのメスとB細胞特異的にCre遺伝子を発現するCD19-Creトランスジェニックマウスのオスを交配してB細胞特異的にα4遺伝子が破壊されたオスのB-α4ノックアウト(KO)マウスを得た。B-α4KOマウスではB細胞数が減少し、α4欠損B細胞の活性化シグナル(BCR/CD40/LPS刺激)に対する反応性が低下していた。免疫抑制剤ラパマイシンはリンパ球の増殖を抑制するが、α4欠損B細胞のラパマイシン感受性は低下することからα4はラパマイシン感受性シグナル伝達経路に位置することが明かとなった。B-α4ノックアウトマウスはT細胞非依存性抗原のみならずT細胞依存性抗原に対する反応性も低下し胚中心形成も障害されていた。これまでのBCRシグナル伝達分子の遺伝子破壊ではT細胞依存性抗原に対する反応性の低下は認めない。従ってα4はBCRからのシグナル伝達のみならずT-B細胞相互作用にも関与する分子である可能性が高く、今後T細胞特異的にα4遺伝子を破壊したマウスも作製して解析を進めて行く。
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