2000 Fiscal Year Annual Research Report
MHCクラスI遺伝子の分子進化と多型性獲得機構の解明
Project/Area Number |
11670330
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Research Institution | Fujita Health University |
Principal Investigator |
橋本 敬一郎 藤田保健衛生大学, 総合医科学研究所, 教授 (70192268)
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Keywords | MHC / クラスI / クラスII / 脊椎動物 / 連鎖 / 分子進化 / 多型性 / 遺伝子構造 |
Research Abstract |
高い多型性を有する古典的MHCクラスI及びクラスII分子は、T細胞に抗原ペプチドを提示する機能を有し、免疫反応において中心的な役割を担っている。我々はこれまでに、最も原始的な有顎脊椎動物である軟骨魚類(サメ)において、高い多型性を示すMHCクラスI遺伝子の存在を証明し、脊椎動物におけるその保存性について報告して来た。今回、軟骨魚類MHCクラスI遺伝子について、その遺伝子構造及び遺伝子発現調節領域について解析を行ない、他の脊椎動物MHCクラスI遺伝子と比較し、脊椎動物全般における保存性を検討した。さらに、MHC遺伝子領域の構造保存性に関して、MHCクラスI及びクラスII遺伝子両者の連鎖について解析を行ない検討した。その結果、MHCクラスI遺伝子のエキソン/イントロン構造及び種々のMHCクラスI遺伝子転写調節に関わるDNA配列が、脊椎動物において高い保存性を有している事を明らかにした。また、MHCクラスI及びクラスII遺伝子に関する同腹魚を用いたサザン解析の結果、これらの古典的MHC遺伝子が連鎖して存在する事が判明した。硬骨魚類においてはMHCクラスI、クラスII遺伝子が連鎖せずに別の領域に存在することが報告されているが、哺乳類を含めた他の脊椎動物グループと共通して、軟骨魚類ではこれらの遺伝子が近接して存在する事が明らかになり、その連鎖は4億数千万年前より存在している事が示唆された。
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