2001 Fiscal Year Annual Research Report
内分泌かく乱物質が引き起こす生物雌性化現象へのUDP-GlcNAc生合成の関与
Project/Area Number |
11670348
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
岡部 とし子 横浜市立大学, 医学部, 講師 (20152564)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松井 三明 横浜市立大学, 医学部, 助手 (00285115)
鹿島 勇治 横浜市立大学, 医学部, 助手 (50233705)
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Keywords | N-アセチルグルコサミン / 男性不妊症 / 抗精子抗体 / 精子運動率 |
Research Abstract |
男性不妊症の1つの原因として、精巣、精子、精液に存在する種々のタンパク質に対する抗体(抗精子抗体)が産生されることにより抗原抗体反応を生じその結果、造精障害、精子凝集傾向の増加による精子運動力の低下、受精能の低下が考えられている。N-アセチルグルコサミン(GlcNAc)-1-リン酸ウリジル転移酵素(UAP1)は精巣や精子尾部のouter dense fiberに局在していること、また男性不妊症患者の血中にUAP1に対する抗体が存在することから男性不妊症との関連が示唆されている。我々は昨年に引き続き、泌尿器科の不妊症外来を訪れた患者の精液より精漿を分離しUAP1に対する抗体の有無をELISA法により検討を行った。その結果、45名中24名にUAP1に対する抗体が存在した。UAP1のN末端側の領域は精子表面に存在するタンパク質として知られるgalactosyltransferase, lactate dehydrogenase(LDH-C_4), SP-10, PH-20,cleavage signal protein等と部分的に相同性を示すことから、N末端側に対する抗体はこれら精子表面に存在するタンパク質に対する抗体を認識する可能性があるため、C末端側を抗原としてUAP1特異的な抗体の有無を検討した。その結果、UAP1に対する抗体が認められた24名全てにUAP1のC末端側に対する抗体が存在した。精子運動率50%以上、精子濃度20x10^6/ml以上が妊孕性を有すると定めているが、UAP1に対する抗体が検出された24名中19名では精子運動率、精子濃度共に基準以下或いは無精子症であった。従って、UAP1も含めた精子に局在するタンパク質に対する抗体を生じたことにより抗原抗体反応が生じ、精子の運動能が低下して不妊症を引き起こしている可能性が示唆された。
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Research Products
(1 results)