2000 Fiscal Year Annual Research Report
必須微量元素亜鉛の欠乏・過剩が血圧および全身の血行動態に及ぼす影響
Project/Area Number |
11670349
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Research Institution | Saitama Medical School |
Principal Investigator |
栗原 仲公 埼玉医科大学, 医学部, 講師 (10234569)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
和田 攻 埼玉医科大学, 医学部, 教授 (60009933)
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Keywords | 亜鉛 / 血圧 / 腎血流量 / NO / 必須微量元素 / GFR / スーパーオキサイド / CuZn SOD |
Research Abstract |
昨年度、必須微量元素亜鉛の血圧および血行動態に対する影響を調べるために、ラットに亜鉛欠乏を導入し、その血圧および腎血流動態を調査したところ、正常ラットに亜鉛欠乏を導入した場合には血圧には有意な変化を認めないものの、腎血管抵抗は有意に上昇し、腎血流量が有意に低下することが明らかとなった。今回、このことが単に腎血流量の低下にとどまるのか、あるいは腎機能の低下をもたらすのかを調べるために、イヌリンクリアランスの測定による糸球体濾過量(GFR)の評価を行った。その結果、亜鉛欠乏ではGFRが有意に低下することが明らかとなったが、その低下は、血清Crレベル見た場合、生理的範囲内であった。従って、亜鉛欠乏は、腎機能を有意に低下させるものの、その低下は予備能力の範囲内に留まるものと考えられた。 また、昨年度、亜鉛欠乏による腎血流量低下のメカニズムとして、nitric oxide(NO)synthaseは関与しないがNOが関与する可能性が高いことを示唆する知見により、亜鉛欠乏ではNO活性の低下が示唆されたが、その原因を説明する仮説として、superoxideの活性上昇が考えられたため、今回、その仮説を証明する端緒として、亜鉛欠乏ラットの腎臓におけるCu/Zn superoxide dismutase活性を測定したところ、それがコントロール群に比べて有意に低下していることが確認された。すなわち、局所のsuperoxide(O^<2->)の上昇が亜鉛欠乏による腎血流量低下のメカニズムに関与している可能性が示唆された。 さらに、NO以外のメカニズムとして、renin-angiotensin系(RAS)の関与を、angiotensin-I converting enzyme(ACE)阻害剤であるenalapril静注により調査したが、enalaprilがコントロール群と亜鉛欠乏群の腎血行動動態に与える影響に有意な差は見られず、RASの関与は低いものと考えられた。
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