2001 Fiscal Year Annual Research Report
断続的寒冷曝露による身体冷却がもたらす生体負担の労働生理学的解析
Project/Area Number |
11670359
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Research Institution | National Institute of Occupational Safety and Health, Japan |
Principal Investigator |
澤田 晋一 独立行政法人産業医学総合研究所, 企画調整部, 研究調整官 (00167438)
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Keywords | 寒冷作業 / 寒冷血管拡張反応(CIVD) / 凍傷 / 温冷感覚 / 冷房病 / 体温調整行動 / 温熱的快不快感 / 身体熱平衡 |
Research Abstract |
断続的寒冷曝露がもたらす身体冷却の特徴と問題点を明らかにするために、前年度に引き続いて、健康な成人男性を対象に休憩・休止条件をはさんで手指と全身を断続的に冷却する実験を行った。ただし、今年度から所属が作業条件適応研究部から企画調整部に変更になったことにより研究業務が大幅に制限された結果、高次精神活動の評価を目的とした全身寒冷曝露実験や継続して行う予定だった北海道での厳冬期の屋外電気工事作業の現場調査等を断念せざるを得なかった。以下に、得られた主な研究成果を要約する。 (1)手指の断続的冷水浸漬実験:10℃の冷水に休憩をはさんで繰り返し手指を浸漬した時の凍傷防御反応と主観的負担(手指の寒冷痛、温冷感覚)の挙動を、異なる気温(15℃と5℃)、異なる時間帯(午前と午後)、異なる摂食条件(空腹と摂食)、異なる局所加温(腋窩と腰部)の4因子間で比較した。凍傷抵抗反応に著明な影響を及ぼす因子は気温であった。その他の因子は期待されるほどの著明な影響を及ぼさなかった。いずれの条件でも凍傷抵抗反応強度の個人差の序列はほぼ一定であった。これより職業性凍傷の発生危険因子とハイリスクグループを検出するための基盤データを得ることができた。 (2)全身の断続的寒冷曝露実験:軽微な寒冷条件としての夏季の冷房による生体負担といわゆる冷房病の本態を明らかにするための基礎実験として、35℃の暑熱条件と25℃の冷房条件に交互に5分間ずつ計10回曝露した後、さらに冷房条件下で回復過程を30分間観察する実験を行った。深部体温の指標として直腸温、体表面温の指標として平均皮膚温(HARDY & DUBOISの7点法)、行動性体温調節反応の指標として、温熱的快不快感、全身温冷感、温熱追求行動性などを中心に測定解析した。本実験の冷房条件(25℃)は、主観的には快適範囲にあり温熱追求行動性からみた行動性体温調節反応もほとんど発現しなかった。にもかかわらず深部体温のホメオスターシスが必ずしも保持されない場合が多いことも判明した。これより冷房の至適条件を考える場合にも、主観的快適性に頼るのではなく身体熱平衡を基礎とした作業環境管理が重要であることが示唆された。
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[Publications] Shin-ichi Sawada et al.: "Effect of clothing on cold-induced vasodilatation (CIVD) response and subjective thermal loads during repeated finger cooling"Proceedings of the Australian Physiological and Pharmacological Society. 32(2). 137-137 (2001)
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[Publications] 澤田晋一, ほか: "断続的寒冷曝露が手指および精神作業パフォーマンスに及ぼす影響"日本衛生学雑誌. 56(1). 333-333 (2001)
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[Publications] 澤田晋一: "寒冷作業環境における体温調節と生体負担"産業衛生学雑誌. 43臨時増刊号. 190-191 (2001)
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[Publications] Shin-ichi Sawada: "The need for a rational choice of cold protective equipment in a refrigerated working environment"ARBETEOCH HALSA. 8. 57-61 (2000)
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[Publications] Shin-ichi Sawada: "Effect of ambient temperature on cold-induced vasodilatation (CIVD) response and subjective thermal loads induced by repeated finger cooling"Biometeorology and Urban Climatology at the Turn of the Millennium : Selected Papers from the Conference ICR-ICUC' 99. WCASP-50 WMO/TD. No.1026. 149-154 (2000)
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[Publications] Shin-ichi Sawada et al.: "Changes in Cold-induced Vasodilatation, Pain and Cold Sensation in Fingers Caused by Repeated Finger Cooling in a Cool Environment"Industrial Health. 38. 79-86 (2000)
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[Publications] 澤田晋一: "人間工学ISO/JIS規格便覧2001(日本人間工学会 ISO/TC159(人間工学)国内対策委員会編)"日本人間工学会、東京. 77 (2001)