2000 Fiscal Year Annual Research Report
ニンジンによるカドミウム等汚染のモンタリングの妥当性と問題点
Project/Area Number |
11670362
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
鈴木 庄亮 群馬大学, 医学部, 教授 (40010011)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小山 洋 群馬大学, 医学部, 教授 (30143192)
川田 智之 群馬大学, 医学部, 助教授 (00224791)
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Keywords | 重金属 / リスクアセスメント / ニンジン |
Research Abstract |
沖縄を除く日本全土46都道府県から373本のニンジンを集めた.ニンジン試料373サンプルのカドミウム濃度の分布範囲は湿重量で2.1〜17.9ng/gであった.この分布は左に偏るため,パラメータとして幾何平均値(GM)と幾何標準偏差(GD)も算出し,それぞれ24.4ng/gと2.2であった.算術平均値±標準備差は32.2±25.4ng/gで,他の研究者の報告値とほぼ等しい値であった.九州北部および四国・中国地方瀬戸内海側のニンジン試料のカドミウム含有量は,他の地域より高かった.全日本の九つの地方のニンジンカドミウム含有量の平均値の多重比較は,中国(36.7ng/g)と東北地方(36.1ng/g)が,北陸(15.8ng/g)と近畿地方(18.9ngg)より有意に高かった(p<0.05).土壌型別のニンジン試料群の平均値は,Histosolsのそれが最高で41.1ng/g,Fluvisolsのそれが最低で22.3ng/gであった.これらの平均値の差は有意であった(t検定、P=0.03).この結果は,土壌分類におけるHistosols土壌のカドミウムの含有量が最も高いことと一致した.県レベルおよび地方レベルのコメ試料カドミウムの平均値とニンジン試料のそれとの間には有意な相関が見られなかった.コメのデータのうち,20サンプルの産地は市町村のレベルで判明していたので,これらの試料と同じ産地のニンジン試料のカドミウム含有量との間には,有意な相関がみられた(r=0.492,P<0.05).日本は多様な土壌型を持つ山国であるため,同じ都道府県内でも,より小さく市町村でみると,その土壌型,潅漑用水,および土壌汚染度などが,より近似しているので,コメとニンジンのカドミウムの相関が大きくなるものと考える.
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