2000 Fiscal Year Annual Research Report
健康保険制度における定率2割負担導入による受診行動への影響
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11670373
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
馬場園 明 九州大学, 健康科学センター, 助教授 (90228685)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
津田 敏秀 岡山大学, 医学部, 講師 (20231433)
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Keywords | 医療保険 / 健康保険組合 / 定率負担 / 医療経済学 / 受診行動 / 入院受診率 / 外来受診率 / 歯科受診率 |
Research Abstract |
1997年9月に行われた被用者健康保険における被保険者に対する定率2割負担の導入の影響を評価するために、1996年および1998年に健康保険組合に所属する全組合1797組合を対象として、受診行動の指標ごとに定率負担導入の影響を明らかにした。受診の指標としては、1人当たり医療費、1000人当たり受診率、1件当たり診療日数、1日当たり医療費とした。1人当たり医療費は、入院、外来、歯科に関して、それぞれ、12.38%、19.70%、16.90%低下していた。1000人当たり受診率は、入院、外来、歯科に関して、それぞれ、5.66%、2.70%、4.22%低下していた。1件当たり診療日数は、入院、外来、歯科に関して、それぞれ、4.33%、5.44%、1.75%低下していた。1日当たり医療費は、入院、外来、歯科に関して、それぞれ、2.47%、12.76%、11.68%低下していた。したがって、1人当たり医療費の低下の原因としては、入院では受診率の低下と1件当たり診療日数の低下が大きかったが、外来では1件当たり診療日数と1日当たり医療費の低下が重要であった。また、歯科では1日当たり医療費の低下が大きく寄与していた。すなわち、入院、外来、歯科で、受診指標への影響は異なっていた。重回帰分析の結果、入院医療費に関連する組合特性としては、平均年齢および性比が正の相関を扶養率が負の相関をしていた。外来医療費に関連する組合特性は、平均年齢が正の相関を、扶養率と平均標準報酬月額が負の相関をしていた。歯科医療費に関する組合特性は、平均年齢と性比が正の相関を扶養率が負の相関をしていた。1000人当たり受診率、1件当たり診療日数、1日当たり医療費の減少と強く関連する組合特性は認められなかった。
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[Publications] 馬場園明,山本英二,津田敏秀 他: "健康保険組合における老人医療費の負担指標に関する研究"医療経済研究. 9(印刷中). (2001)
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[Publications] Tsuda T,Mino Y,Babazono A, et al: "A case-control study of the relationships among silica exposure, gastric cancer, and esophageal cancer."American Journal of Industrial Medicine. 39. 52-57 (2001)
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[Publications] 津田敏秀,馬場園明: "医学における因果関係の認識と合意"健康支援. 2. 38-53 (2000)
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[Publications] Kubota M,Babazono A,Aoyama H: "Women's anxiety in old age and long-term care provision for the elderly."Acta Med Okayama. 54. 75-83 (2000)