1999 Fiscal Year Annual Research Report
肥満細胞におけるサイトカイン産生のリゾリン脂質による調節
Project/Area Number |
11670434
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
石塚 全 群馬大学, 医学部, 助手 (50302477)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡島 史和 群馬大学, 医学部, 教授 (30142748)
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Keywords | 肥満細胞 / サイトカイン / protein kinase C / MAP Kinase |
Research Abstract |
私達は肥満細胞を高親和性IgE Fcレセプター(FcεRI)を介して抗原刺激すると3つのMAP kinaseファミリー(JNK,p38,およびERK)の活性化が惹起され、特にJNK活性化はサイトカイン産生に重要であり,PI3-kinase,calcineurinがその上流でJNK活性化を調節していることを明らかにしてきた.肥満細胞がヒスタミンなどのケミカルメデイエーターを遊離し即時型アレルギー反応を惹起するためにはProtein kinase C(PKC)の活性化が必須であると考えられているが,サイトカイン産生など他の機能への関与は不明である.そこでマウス肥満細胞株MC/9をanti-DNP IgEで受動感作後,DNP-HSA添加による抗原刺激を行い,TNF-α産生量をELISAにより測定し,PKC阻害薬の抑制効果を検討した。4種類のPKC阻害薬(Go6976,Go6983,Bisindolylmaleimide I,Ro320432)はいずれも強力にTNF-α産生を抑制した.MC/9を抗原あるいはStem cell factor(SCF)で刺激した場合のJNK,ERKの活性化について上記4種類のPKC阻害薬の効果を検討した結果,SCF刺激によるJNK,ERK活性化および抗原刺激によるERK活性化は全く影響を受けなかった.一方,抗原刺激によるJNK活性化はGo6976によって完全に抑制されたが,他のPKC阻害薬による抑制は部分的であった。Go6976はcPKCおよびPKCμを抑制するが,他のnPKCやaPKCに対する作用を有さない.Go6983やBisindolylmaleimide IはcPKCおよびnPKCを抑制するが,PKCμに対する抑制作用を有さない.以上の結果より,PKCμが肥満細胞のFcεRIを介するJNK活性化経路に特異的なシグナル伝達因子であると予想された.PKCμ阻害作用を有するK252aもGo6976と同様に抗原刺激によるJNK活性化を完全に抑制した.また,肥満細胞にはリゾリン脂質に対するレセプターのうちEdg-2,4,5が発現していることをNorthern blotにより確認したが,サイトカイン産生を含め肥満細胞の機能への影響は明らかなものは見い出していない.
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