1999 Fiscal Year Annual Research Report
ニューモシスチス・カリニの院内感染及び薬剤耐性に関する分子生物学的研究
Project/Area Number |
11670439
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
高橋 孝 東京大学, 医科学研究所, 助手 (00292855)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩本 愛吉 東京大学, 医科学研究所, 教授 (10133076)
中村 義一 東京大学, 医科学研究所, 助教授 (40114590)
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Keywords | ニューモシスチス・カリニ / 院内感染 / 薬剤耐性 / 分子生物学 |
Research Abstract |
解析に用いた検体は、ニューモシスチス・カリニ(Pc)肺炎を呈した免疫不全症例24例(HIV感染症16例、悪性リンパ腫3例、腎移植後2例、急速進行性糸球体腎炎1例、多発性動脈炎1例、リンパ性間質性肺炎1例)より得られた気管支肺胞洗浄液(BALF)である。 症例は、その発生状況別に、1.当病院の外来においてPc肺炎を発症した群(10例)、2.当病院の病棟において入院中にPc肺炎を発症した群(4例)、3.他の病院においてPc肺炎をを発症した群(10例)の3群に分類される。症例の発生時期別としては、1994年1例、1995年1例、1997年10例、1998年7例、1999年5例という状祝に分けられる。 Pcのタイピングの方法として、BALFよりDNAを抽出し、PCR法によりrRNA遺伝子座のinternal transcribed spacer(ITS)の2領域(ITS1,ITS2)を増幅し、cloning sequeneを施行した。Leeらの用いた方法(J.Clin.Microbiol.36:734-741,1998)に基づいて、得られたITSの塩基配列のタイピングを行った。 その結果、一症例において複数のPcのタイプが存在する16症例と、単一のPcのタイプが存在する8症例が認められた。ITS領域別に検討した場合、ITS1領域において11種類、ITS2領域において11種類のPcを認めた。ITS1領域及びITS2領域を組み合わせPcのタイプとしては、30種類が確認された。 以上の結果より、ITS領域の多型性に基づいたPcのタイピングは可能であり、今後さらに、Pc肺炎再発例や同一施設内での群発例に対するITS領域のタイピングにより、感染経路を解析していく事が重要であると考える。
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