2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11670443
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
太田 康男 東京大学, 医学部・附属病院, 助手 (80292936)
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Keywords | EGF受容体 / 細胞内情報伝達 / Cbl |
Research Abstract |
過去2年間にわたる本プロジェクトでは、主として増殖に関与する受容体であるEGF受容体からの情報伝達系を用いて、野生型Cblを種々の変異Cblと対比させて、その細胞内機能の解析を行った。 細胞としては、EGF受容体を強く発現しているMDCK細胞を用い、それに野生型のCblおよび2つのCbl変異体を発現させた細胞系をテトラサイクリンシステムを用いて樹立した。変異Cblとしては、SH3ドメインなどを有する種々の分子との結合に重要なプロリンリッチ領域の変異体および線虫のEGF受容体システムの研究からその機能発現に重要であると証明されているG306の変異体を作成した。これらの細胞系を用いて、Cblの細胞内機能の解析を試みた。 Cblのプロリンリッチ領域の変異体を発現させた細胞内では、CblとGrb2との会合が全く認められず、この部位がCblとGrb2との結合に重要であることが再確認された。しかしながら、その一つの下流と考えられるMAPKなどのリン酸化は、野生Cblを発現した細胞と比べ相違は認められなかった。またEGF受容体情報伝達系では、CblとGrb2の結合はリン酸化に全く依存しなかった。 この研究過程で、Cblがユビキチンリガーゼであり、Cblがユビキチンリガーゼとして作用するためには、Cblのリングフィンガードメインが必須で、この部位のチロシン残基の一つがリン酸化されることが必要であるとの重要な報告がなされた。しかしながら、我々は野生Cblと変異Cblを対比した解析から、Cblのプロリンリッチ領域もEGF受容体のユビキチネーションに必須であることを見出した。
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