2000 Fiscal Year Annual Research Report
慢性関節リウマチ滑膜細胞の骨吸収作用におけるインターロイキン11の役割
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11670444
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Research Institution | Toyama Medical and Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
杉山 英二 富山医科薬科大学, 附属病院, 講師 (70179167)
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Keywords | 慢性関節リウマチ / 滑膜細胞 / IL-11 / 破骨細胞 / Tリンパ球 / 破骨細胞分化誘導因子 |
Research Abstract |
(目的)インターロイキン11(IL-11)は培養細胞の系で破骨細胞の分化誘導作用が報告されている。我々はIL-11が慢性関節リウマチ(RA)滑膜から多量に産生されることを報告したが、その役割については不明である。そこでRAにみられる炎症性骨吸収に対するIL-11の作用について検討した。(結果)検討1:手術時に得られたRA滑膜を酵素処理して培養し、3世代以上の滑膜線維芽細胞を用いた培養系においてIL-11の作用を検討した。IL-11は破骨細胞分化誘導因子(osteoclast differentiation factor,ODF)の発現をmRNAレベルで増強した。一方、ODFのデコイレセプターであるosteoclastogenesis inhibitory factor(OCIF)の産生はIL-11により影響を受けなかった。検討2:近年、ODFはTリンパ球にも発現していることが明らかになった。そこで、RA滑膜浸潤Tリンパ球の破骨細胞分化誘導能とその誘導能に対するIL-11の作用を検討した。RA滑膜浸潤Tリンパ球と滑膜マクロファージ系細胞の混合培養系において、Tリンパ球はマクロファージ系細胞に作用して破骨細胞の前駆細胞であるTRAP染色陽性の多核巨細胞を誘導した(2000年度米国リウマチ学会で報告)。このTリンパ球の誘導作用はIL-11存在下においても影響をうけなかった。(結論)以上の結果より、IL-11は主に滑膜線維芽細胞に作用して、ODFの発現を増強することにより破骨細胞誘導系を促進することが示唆された。
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