1999 Fiscal Year Annual Research Report
癌抑制遺伝子p53と血管新生抑制因子の制御による慢性関節リウマチの治療戦略
Project/Area Number |
11670460
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Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
山中 寿 東京女子医科大学, 医学部, 助教授 (10166754)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中島 洋 東京女子医科大学, 医学部, 助手 (40266838)
谷口 敦夫 東京女子医科大学, 医学部, 講師 (40179833)
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Keywords | 慢性関節リウマチ / 血管新生 / TSP-1 |
Research Abstract |
【目的】我々は、増殖性の滑膜炎が本態である慢性関節リウマチ(RA)の進行を防止するための一手段として、滑膜組織の血管新生を制御する方法を検討している。本年度は、まず血管新生に関与することが知られている種々の因子のRA滑膜における発現を複数の方法により検討した。 【方法】1)関節鏡的滑膜切除術や人工関節置換術時にRA患者から得られた滑膜組織における血管新生促進因子vascular endothelial growth factor (VEGF)、hepatocyte growth factor、fibroblast growth factor、platelet derived growth factor、tumor necrosis factor α、angiopoietin-1と血管新生抑制因子thrombospondin-1(TSP-1)の発現を、免疫組織化学染色により病理学的に検討した。さらに、滑膜組織を血管新生やリンパ球浸潤の程度により活動性を評価し、各因子の発現との相関を検討した。2)滑膜におけるVEGFとTSP-1の発現を、定量的RT-PCRにより検討し、滑膜炎の病理学的評価との相関を検討した。 【結果】活動性の高いRA滑膜ではVEGFの発現に比してTSP-1の発現は少なく、活動性の低いRA滑膜においては、VEGFに比してTSP-1の発現は多い傾向がみられた。また血管新生阻害因子であるTSP-1の発現は組織学的に判定した滑膜炎の程度と逆相関し、特に血管新生とは強い負の相関を認めた。このことからRA滑膜炎の強度には血管新生促進因子と抑制因子の不均衡が関与する可能性が示され、治療への応用の可能性が示唆された。次年度は、TSP-1遺伝子の関節炎モデル動物への導入実験を実施する予定である。
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