1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11670496
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
澤田 光孝 京都大学, 医学研究科, 助手 (70235472)
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Keywords | FGFR4 / 増殖因子 / 小腸 / チロシンキナーゼ |
Research Abstract |
今回私達は、小腸粘膜上皮の増殖に関与する因子をクローニングするために、増殖因子に多く見られるチロシンキナーゼ相同領域を標的にしたプライマーを設定し、ヒト胎児小腸上皮細胞株I407より採取したRNAを用いてPCRを行った。クローニングした遺伝子は、DNAシークエンスにより、ヒトfibroblast growth factor receptor(FGFR)4のsplice variantであることが判明した。このvaliantは、膜貫通ドメインのエクソン9が、イントロン9に置き換わっており、FGFR4の可溶型レセプターとして存在していると考えられる。また、実際に発現ベクターに組み込んだこのFGFR4のvariantをCOS7系細胞に遺伝子導入すると、細胞培養液中に蛋白の分泌が見られることが確認された。すでに、FGFR1、2、3についてはすでに可溶型のレセプターの存在が報告されているが、FGFR4については初めての報告である。ラット胎児小腸上皮細胞株IEC6より採種したRNAを用いたPCRでは、このsplice variantは認めらず、ヒトにのみ特異的に発現している可能性が考えられる。さらにノーザンブロッティングにより、ヒト消化管粘膜上皮、膵ならびに胃・大腸・膵癌の細胞株においてその発現がみられることが分かるとともに、single cell RT-PCRによって膜貫通型のFGFR4と可溶型のFGFR4の2つのmRNAが単一細胞に同時に存在していることが分かった。膜貫通型のレセプターでは、他にもEGFレセプター、IL-4レセプター、Fasなどに可溶型レセプターの存在が知られている。今後、臨床検体を用いて疾病との関わりなど可溶性FGFR4の役割についてさらに検討を勧める予定である。
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[Publications] Takaishi S,Sawada M et al.: "Identification of Novel Alternative Splicing of Human FGF Receptor 4 : Soluble-Form Splice Variant Expressed In Human Gastrointestinal Epithelial Cells"Biochemical and Biophysical Research Communications. Vol.267,No2. 658-662 (2000)