2001 Fiscal Year Annual Research Report
RB経路に関わる分子のヒト肝細胞癌における異常の解析及びその臨床応用
Project/Area Number |
11670497
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Research Institution | KYOTO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
西田 直生志 京都大学, 医学研究科, 助手 (60281755)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
荒井 宏司 京都大学, 医学研究科, 助手 (00263088)
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Keywords | 肝癌 / RB経路 / p53経路 / サイクリンD1遺伝子 / p16^<INK4A>遺伝子 / ARF遺伝子 / 転移再発 |
Research Abstract |
本研究では肝発癌におけるRB経路の破綻の意義を検討するため、各分化度のヒト肝癌を用いてRB経路分子の異常を包括的に解析し、さらにp53経路分子であるp53とARF遺伝子異常の解析を加え、RB、p53経路異常の関連性も検討した。 各分子異常の解析は、RB蛋白発現には免疫組織化学染色、サイクリンD1遺伝子異常・発現の解析にサザンブロッティングおよび免疫組織化学染色、P16^<INK4A>遺伝子異常・発現異常の解析にはメチル化特異的PCR、PCR-SSCP、PCRを用いた欠失の解析、免疫沈降-ウエスタンブロッティングを施行した。また同一症例において、p53遺伝子異常・発現異常をPCR-SSCP、免疫組織化学染色を用い、またARF遺伝子異常をメチル化特異的PCR、PCR-SSCP、PCRを用いた欠失の解析、発現をTaq-Man PCRを用いて解析した。 サイクリンD1発現過剰は高〜中分化肝癌に移行する過程で頻度が増える傾向が認められたが、RB、p16発現異常の頻度と分化度には関連は認められなかった。さらにRB経路分子のいずれかに発現異常が認められる症例は82.5%と高率であり、高分化肝癌にも高頻度であった。一方、p53遺伝子異常・発現異常は、高〜中分化肝癌に移行する過程で頻度が増加していた。ARF遺伝子異常は7%に認められ、点突然変異及び欠失(発現消失を伴う)は認められたがメチル化異常は認められなかった。さらにRB経路異常とp53経路異常の間に相関は認められなかった。 RB経路異常が認められる肝癌とその異常が認められない肝癌症例の間で、肝癌治癒切除後の転移再発のリスクが異なる可能性について、各症例を追跡調査し各種の腫瘍側因子を共変量して多変量解析を用いて検討したが、両群間に明らかな差は認められず、RB経路異常は肝発癌の進展期ではなく比較的早期に関わるという結論を支持する結果となった。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Tanaka, A., Nishida, N.et al.: "Treatment of ruptured hepatocellular carcinoma"Int. J. Clin. Omcol.. 6. 291-295 (2002)
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[Publications] Nishida, N. et al.: "Prognostic Impact of Multiple Allelic losses for metastatic recurrence in hepatocellular carcinoma after Curative Resection"Oncology. (in press). (2002)
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[Publications] Maetani, Y., Nishida, N.et al.: "Benign Hepatic nodules in Budd-Chiari syndrome. Pathologic correlation with emphasis on the central scar"Am. J. Roentgenol.. (in press). (2002)
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[Publications] Minata, M., Nishida, N.et al.: "Postoperative detection of AFP mRNA in blood as a predictor for metastatic recurrence of hepatocellular carcinoma"J. Gastroentel. Hepatol.. 16. 445-451 (2001)
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[Publications] Azechi, H., Nishida, N.et al.: "Disruption of the RB pathway in the majority of human hepatocellular carcinomas"Oncology. 60. 346-654 (2001)
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[Publications] 西田直生志 他: "日本癌床59 増刊号6 肝癌の診断と治療"日本臨床. 4 (2001)