2000 Fiscal Year Annual Research Report
肝壊死の可逆性を調節する活性化肝マクロファージの作用機序
Project/Area Number |
11670530
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Research Institution | Saitama Medical School |
Principal Investigator |
名越 澄子 埼玉医科大学, 医学部, 講師 (50306271)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
稲生 実枝 埼玉医科大学, 医学部, 助手 (70286037)
藤原 研司 埼玉医科大学, 医学部, 教授 (80101088)
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Keywords | アポトーシス / IAP(inhibitor of apoptosis) / TNF / NFκB / 肝細胞 / マクロファージ |
Research Abstract |
肝類洞内に存在するマクロファージ系細胞が産生するTNFは、広範肝壊死の進展を調節するだけでなく、肝再生の惹起因子としても作動するサイトカインである。TNFが受容体に結合すると、カスパーゼ・カスケードが活性化され、アポトーシスが誘導されるが、同時に活性化される内因性転写因子のNFκBは、このアポトーシスを抑制することが知られている。マウスに、少量のTNFを投与しても肝障害はおこらないが、転写を抑制するD-galactosamine(GalN)を前投与しておくと、肝細胞はアポトーシスに陥り、広範肝壊死が生じる。さらに、GalN投与1時間前に同量のTNFを与えると、アポトーシスは抑制される。本研究では、カスパーゼと結合してアポトーシスを阻害するinhibitor of apoptosis proteins(IAP)であるIAP-1、IAP-2、XIAP、survivinのマウス肝における発現をRT-PCRにより評価し、TNFの抗アポトーシス作用との関係を検討した。TNF投与後1時間をピークに5時間目までIAP-1、IAP-2の発現は増強したが、XIAP、survivinは変化しなかった。TNF投与30分前にGalNで処置すると、ピーク時のIAP-1、IAP-2の発現は抑制され、肝細胞はアポトーシスに陥り、血清ALTは高値となった。従って、TNFを単独またはGalN処置1時間前に投与した場合の抗アポトーシス作用はIAP-1、IAP-2を介していると推定された。以上から、活性化マクロファージが障害肝を広範壊死にまで進展させるか再生へ向わせるかを調節する因子が、TNFにより誘導されるIAPの可能性もある。
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