1999 Fiscal Year Annual Research Report
虚血再灌流による小腸および肝障害の発生機序に関する研究-エタノール投与による炎症性ならびに血管作動性物質への影響-
Project/Area Number |
11670532
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
堀江 義則 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (70229227)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山岸 由幸 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (00286486)
白石 春子 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (00265802)
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Keywords | 虚血再灌流 / 微小循環 / エタノール / サイトカイン / 血管作動性物質 / エンドトキシン / 一酸化窒素 / 腸管透過性亢進 |
Research Abstract |
[方法](1)Wistar系雄性ラット肝表面を生体顕微鏡下に観察した。上腸間膜動脈を30分間結紮後再灌流し、60分後まで蛍光ラベルされた膠着白血球数、血流のない肝類洞の割合(NPS)を解析した。血中エンドトキシン濃度、tumor necrosis factor-α(TNF)値を測定した。(2)EtOH(1g、または4g/kg)を胃管より投与した後、同様の解析を行った。(3)NOの合成阻害剤またはNO donorを前投与した後、同様の解析を行った。[結果]腸管I/Rにより%NPSの増加と肝類洞内白血球膠着が惹起された。血漿TNF値、エンドトキシン濃度の増加も認めた。高用量(4g/kg) EtOH単独投与は、エンドトキシン濃度の上昇、NPSの増加、白血球膠着を惹起した。低用量(1g/kg)EtOH前没与により、腸管I/RによるTNF値の上昇、NPSの増加、白血球膠着は抑制された。NO合成阻害剤は、腸管I/R惹起性肝微小循環障害を増悪し、さらに、低用量EtOHによる障害抑制作用を減少させた。これに対し高用量EtOH前投与では、腸管I/Rによるエンドトキシン濃度の増加、NPSの増加、白血球膠着は増強された。この障害増強作用は、NO donorにより抑制された。[総括]腸管I/Rは、TNF-αなどのサイトカイン産生を介し肝微小循環障害を惹起する。低用量EtOHは、TNF-α産生を低下させ、腸管I/Rによる肝微小循環障害を抑制し、一方、高用量エタノールは血中エンドトキシン濃度を上昇させ、腸管I/Rによる肝微小循環障害を増強することが示唆された。これらの肝微小循環の変化に内因性のNOが保護的に作用していることが示唆された。アルコール投与と腸管I/Rによる多臓器不全の進展予防に、TNF-αなどのサイトカイン産生やエンドトキシンの上昇の抑制、NO donorの投与が有効である可能性が示唆された。
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Research Products
(1 results)