1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11670540
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Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
長谷川 潔 東京女子医科大学, 医学部, 講師 (30172886)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 植雄 東京女子医科大学, 医学部, 教授 (80060086)
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Keywords | B型肝炎ウィルス / 遺伝子変異 |
Research Abstract |
劇症肝炎(FH)6例、重症急性肝炎(SAH)4例、急性肝炎(AH)5例を対象とし、血清50μlよりproteinase KによりDANを抽出し、Core Promoter,Precore/Coreを含む領域をPCR法にて増幅したのち、増幅産物をpGEM-5Zヘサブクローニングし、最低5クローンの塩基配列を調べた。また、すべての症例のcore promoterを含む領域のPCR産物をCAT enhancer vector(Promega)に挿入し、リポフェクチン法にて培養肝細胞(Huh-7)にトランスフェクションした後、QUAN-T CAT(Amarsham)を用いてPromoter活性を測定した。その結果、core promoter領域の変異はFHで平均4.7個、SAHで3.8個、AHで1.0個と、重症化に伴い頻度が増加した。nt.1762とnt.1764のA→T,G→Aのいわゆるdouble mutation(MT62,MT64)は、FH6例中2例、SAH4例中2例に認めた。またFH4例、SAH2例にnt.1773のC→T(MT73)の変異を認めたが、FHあるいはSAHの全例に「共通する変異はなかった。次に、core promoterの変異株のpromoter活性をCAT assayで調べたところ、野生株(WT)で3202±122cpm、MT62,64,73:3625±746cpm、MT62、64:3699±122cpm、MT73:3027±570cpmであり、そのほかの変異のパターンを持つ症例でも、WTと比較しpromoter活性の低下、あるいは亢進のいずれも認められなかった。以上のことから、core promoter領域の変異は、重症度と相関することから、肝炎の重症化との関連が示唆された。しかし、我々の用いたアッセイ系ではpromoter活性に差がみられず、重症化の要因は転写活性の変化とは別の機序によると考えられた。次年度は、プロモーター領域の変異の、核蛋白とプロモーター遺伝子との結合に及ぼす影響につき、おもに解析を加える。
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