2000 Fiscal Year Annual Research Report
新規follistatin様蛋白質の各種消化管病変における機能解析
Project/Area Number |
11670543
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Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
和田 謙 日本医科大学, 医学部, 助手 (30307954)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
坂本 長逸 日本医科大学, 医学部, 教授 (30196092)
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Keywords | follistatin / epidermal growth factor / 増殖因子 / 胃線維芽細胞 |
Research Abstract |
私共がヒト胃線維芽細胞よりcDNAクローニングに成功した新しい蛋白質Tomoregulin(以下TR)は、EGF様ドメインと2つのFollistatin様ドメインで構成されるユニークな構造を有している。これまでに私共はTRの消化管における細胞生物学的役割を明らかにするためにTRの組織発現分布や細胞生物学的作用について検討し、論文発表を行っている(Biochem.Biophys.Res.Commun.266:593-602,1999)。この論文で私共はTRが細胞膜よりN端側で分離して細胞外ドメインが放出され、さらにEGFドメインが切断されることを見い出し、またTRがMKN28胃癌細胞株においてEGF受容体ファミリーの一つであるerbB4のリン酸化を引き起こすことを報告している。さらに組織発現分布などからもTRの組織発生、細胞増殖・分化等への関与が示唆されている。現在、私共は全長TRおよびTR-Follistatin様ドメインを組み込んだベクターを作成し、バキュロウイルス発現系を用いてSF9細胞の大量培養上清より抗体カラムで各蛋白質の精製を行っている。全長TR精製蛋白質を用いてMKN1胃癌細胞株を刺激したところ濃度依存性に増殖の抑制が観察された。また、TRのEGF様ドメインに関しては、Fcを付けたフラグメントcDNAを発現ベクターへ組み込み、それをCOS-7細胞に導入してフラグメント蛋白質を精製した。このEGF様ドメインのフラグメント蛋白質刺激においても同様にMKN1細胞の増殖抑制作用が認められた。従って、TRのMKN1細胞に対する増殖抑制作用はそのEGF様ドメインを介するものであることが示唆された。Follistatin様ドメイン蛋白質の効果に関しては現在検討中である。さらにこの増殖抑制作用がアポトーシスを介したものである可能性も示唆され、cell death detection ELISA法やDNAフラグメンテーション法にてアポトーシスの関与を検討予定である。
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