2000 Fiscal Year Annual Research Report
肝発癌に関わるC型肝炎ウイルス蛋白NS3とp53等の宿主蛋白との相互作用
Project/Area Number |
11670545
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Research Institution | KANAZAWA MEDICAL UNIVERSITY |
Principal Investigator |
竹上 勉 金沢医科大学, 総合医学研究所, 教授 (10113490)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
蓮村 靖 金沢医科大学, 総合医学研究所, 教授 (40019956)
野島 孝之 金沢医科大学, 医学部, 教授 (50142732)
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Keywords | C型肝炎ウイルス / 非構造蛋白NS3 / 形質転換 / 腫瘍形成能 / p53 / 宿主核蛋白 / SmD |
Research Abstract |
本研究においては、C型肝炎ウイルス(HCV)による肝発癌の機構に関与すると推測されているHCVの非構造蛋白NS3の細胞への影響を調べるために、NS3と反応する宿主蛋白の検索を行った。酵母を用いた2-hybrid assay法によってヒトcDNAライブラリーから得られた陽性クローンの中にはRNAスプライシングに関わる蛋白SmDやDNAヘリカーゼのモチーフを有する蛋白等の細胞核に存在する蛋白が多くみられた。とくに活性の高いクローン(SmD)について詳細に検討を行った。(1)大腸菌にてGST融合蛋白として作成し、HCV-NS3との結合の活性を調べた結果、それらの蛋白はin vitroでHCV-NS3と結合することが示された。(2)細胞への遺伝子導入の実験からそれらがin vivoで反応することも分かった。(3)SmD蛋白のどの領域でNS3と結合するかを調べるためにベクターを構築し、欠損SmD蛋白を調整し、解析の結果、SmDのカルボキシル末端側のGR(Gly-Arg)繰り返し配列領域がNS3結合域であることを明らかにした。(4)さらにUVクロスリンク法による調査によってSmD蛋白がHCVゲノムRNAの5'端には結合しないが、3'端に結合することが明らかになった。以上の結果はHCVのライフサイクルにもSmDが関わる可能性を示している。SmD蛋白は自己免疫にも関わり、またEBウイルスの持続感染細胞の存在するEBNA1蛋白との相同性がある等の事実からみて、何らかのウイルス持続感染との関わりがあるのかもしれない。HCVはvRNA、蛋白合成、ウイルス粒子形成等は細胞質で行うが、ウイルス蛋白はある条件下では核蛋白と接触する機会があると考えられている。ここで述べたHCV-NS3とSmDとの細胞内における相互作用、反応が細胞形質に及ぼす影響はどうか、また、それら自身の発現および発現に伴うp53を含めた他の蛋白への発現、機能に及ぼす影響等について、今後、細胞レベル、遺伝子レベルで検討していく必要がある。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Tsutomu Takegami et al.: "Isolation and molecular comparison of Japanese encephalitis virus in Ishikawa, Japan."Jpn.J.Infect.Dis.. 53. 178-179 (2000)
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[Publications] H Ishak,T.Takegami et al.: "Comparative sequences of two type 1 dengue virus strains possessing different growth characteristics in vitro."Microbiol.Immunol.. 45(in press). (2001)
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[Publications] 岩井淳,竹上勉: "C型肝炎ウイルス蛋白質NS3と相互作用する宿主細胞蛋白質"金沢医大総合医学研究所年報. 11. 72-79 (2000)
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[Publications] 竹上勉: "フラビウイルスの今"金沢医大総合医学研究所年報. 11. 20-30 (2000)