2000 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト好塩基球におけるFcγRとFcεRとの相互作用に関する研究
Project/Area Number |
11670577
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Research Institution | OKAYAMA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
谷本 安 岡山大学, 医学部・附属病院, 助手 (60284098)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金廣 有彦 岡山大学, 医学部・附属病院, 助手 (20243503)
片岡 幹男 岡山大学, 医学部, 教授 (50177391)
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Keywords | 好塩基球 / 末梢血幹細胞 / FcεR / FcγR / ヒスタミンー / 細胞内カルシウム |
Research Abstract |
平成12年度は、平成11年度に確立した末梢血幹細胞培養法で得られたヒト好塩基球を用いて、好塩基球上のFcγRとFcεRとの相互作用について解析した。培養好塩基球上のFcR発現についてはflow cytometryを用いてFcεRIとFcγRIIが豊富に発現していることを確認した。また、FcεRIIやFcγRI、FcγRIIIの発現はみられなかった。そこで、培養好塩基球を用いてFcεRI架橋による細胞内カルシウム濃度の上昇やヒスタミン遊離をFcγRIIが抑制するか否か検討した。抗FcγRII抗体である2E1を用いたFcγRIIの架橋では比較的速やかな細胞内カルシウム濃度の上昇が惹起された。別の抗FcγRII抗体であるIV.3による架橋でも細胞内カルシウム濃度の上昇がみられた。FcεRIα鎖に対する抗体であるCRA-1と2E1あるいはIV.3を用いたFcεRIとFcγRIIの共架橋では、FcγRIIはFcεRI架橋による細胞内カルシウム濃度の上昇を抑制しなかった。さらにヒスタミン遊離についても同様の検討を行ったところ、FcγRIIの単独架橋では有意なヒスタミン遊離はみられず、細胞内カルシウム濃度変化と同様にFcγRIIはFcεRI架橋によるヒスタミン遊離を抑制し得なかった。ヒト好塩基球上のFcγRIIを刺激した際には、FcγRIIbしか発現していないマウスの細胞と違って、FcγRIIbによる抑制性シグナルとFcγRIIaあるいはFcγRIIcによる活性化シグナルの総和として現れるものと理解される。培養好塩基球に関してはFcγRIIaが優位に発現しているものと考えられ、今後解析の予定である。以上より、FcγRIIはヒト好塩基球上ではFcεRIを介するアレルギー反応の重要な抑制機構としては作動していない可能性が示唆された。
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