1999 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト気道で発見したトリプシン様酵素による線溶系酵素活性化の生理的、病態的意義
Project/Area Number |
11670580
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
安岡 劭 徳島大学, 医療技術短期大学部, 教授 (30035414)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐野 壽昭 徳島大学, 医学部, 教授 (80154128)
中村 陽一 徳島大学, 医学部・附属病院, 講師 (00237447)
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Keywords | ヒト気道トリプシン様プロテアーゼ / 気道 / プロウロキナーゼ / 線溶系 / 気道上皮細胞 / フィブリノーゲン |
Research Abstract |
研究代表者の安岡らがヒト喀痰中に発見したヒト気道トリプシン様プロテアーゼ(HAT)がplasminogen(Plg)を含むfibrinogen(Fib)から調整したfibrin gelを分解することを見出したので、HATの線溶系カスケード活性化の機序とこの作用の気道における生理的ないし病態的意義を解明するために、基礎的に研究し、以下の成績を得た。 1.HATの線溶系活性化機序:HATは、1)fibrin plateによりPlgを含むFibから調整したfibrin gelを分解する、2)Plgを直接活性化しない、3)prourokinaseを活性化してurokinaseに転換する、4)Fibを分解してそのfibrin clot形成能を消失させる。 2.気道液中におけるHATとウロキナーゼの分析:慢性気道疾患患者の喀痰中におけるHATとウロキナーゼの含量を酵素関連免疫測定法で測定し、両酵素ともに存在することが確認された。 3.HATのTGF-β_1活性化作用:リコンビナントの潜在性TGF-β_1を用い、HATがこれを活性化するか否かを分析する方法を基礎的に検討した。 4.HATの気道系における局在部位:新鮮肺組織標本を対象とし、抗マウスモノクロナルHAT抗体を用いる超感度免系組織染色法で、HATは気道線毛上皮細胞に局在している成績を得た。plasminはcollagenaseなどの金属プロテアーゼの活性化作用や潜在性TGF-β_1の活性化作用により細胞の増殖、分化、ガンの転移などに関与している。 これらのことから、HATが気道において線溶系の活性化を介して気道上皮細胞の増殖、分化、機能の調節、線維芽細胞の増殖促進、などの作用で気道上皮の修復・再生や気道のリモデリングに関与している可能性が推定された。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Syunji Nakano: "Characteristics of the protease activity in synovial fluid from patients with rheumatoid arthritis and osteoarthritis"Clinical and experimental Rheumatology. 17. 52-60 (1999)
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[Publications] Mika Kurokawa: "Influenza virus overcomes apoptosis by rapid multiplication"International Journal of Molecular Medicine. 3. 527-530 (1999)
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[Publications] Susumu Yasuoka: "Fibrinogenolytic activity and prourokinase-activating of human airway trypsin-like protease(HAT)"Proceeding of airway secretion research. 1. 21-34 (1999)
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[Publications] Yuuichi Ikeda: "Cathepsis B and synovial fluids from patients with rheumatoid arthritis and the effect of cathepsins B on the activation of pro-urokinase"The Journal of Medical Investigation. 47・1〜2. 61-75 (1999)