2000 Fiscal Year Annual Research Report
気管支喘息における気道炎症とβ受容体機能の相互作用に関する基礎的検討
Project/Area Number |
11670581
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
古藤 洋 九州大学, 医学部・附属病院, 講師 (10253452)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井上 博雅 九州大学, 医学部・附属病院, 助手 (30264039)
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Keywords | β受容体 / 気道炎症 / G蛋白 / アデニル酸シクラーゼ / オゾン |
Research Abstract |
気道炎症のモデルとしてラットをオゾンに曝露し,ex vivoにおけるβ_2受容体機能の変化について検討を加えた.オゾンは3ppm,自発呼吸下に吸入させ,24時間後に気管と両肺をen blocで摘出して組織切片を作成した.過去の検討から,この曝露条件でin vivoにおける好中球を主体とした気道炎症が惹起され,同時に気道収縮物質に対する非特異的な気道反応性の亢進がみられることが確認されている. 気管平滑筋は1〜2軟骨輪の幅の切片とし,肺組織はおよそ2X2X7mmの直方体切片としてorgan bath内に懸垂して等尺性張力を測定した.オゾン曝露はex vivoにおけるカルバコール(CCh)に対する収縮性(用量反応曲線)には影響を与えなかったため,β受容体機能はED_<50>に相当するCChで前収縮させた組織のイソプロテレノール(ISO)に対する弛緩反応として評価した.オゾン曝露後には気管平滑筋,肺組織のいずれにおいてもISOに対する反応性の減弱が認められた.この機序を明らかにするために百日咳毒素(PTx)前処置によって抑制性G蛋白(Gi)を阻害した際の効果,およびアデニル酸シクラーゼを直接刺激すると考えられているフォルスコリンの効果について検討した.PTx前処置はオゾン曝露後に認められるISO低反応性を抑制し,このモデルにおいてGi蛋白が誘導されてβ受容体機能を阻害していることが推測された.またオゾン曝露後の組織においては,フォルスコリンによる弛緩反応も減弱していることが確認され,G蛋白よりも下流のシグナル伝達機構も障害されていることが示唆された.さらにIL-1β変換酵素(ICE)阻害薬で内因性のIL-1β産生を抑制した際の効果も検討した.ICE阻害薬はオゾン曝露後のβ受容体機能低下を有意に抑制し,このモデルにおけるβ受容体機能低下は気道炎症に続発するものであると考えられた.
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