1999 Fiscal Year Annual Research Report
トランスジェニックマウスを用いた特発性間質性肺炎の成因の解明ーC型肝炎ウイルスの関与(in vivoとin vitro)の検討ー
Project/Area Number |
11670592
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
中野 純一 帝京大学, 医学部, 講師 (20240707)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
有岡 仁 帝京大学, 医学部, 助手 (50297131)
山下 直美 帝京大学, 医学部, 助教授 (20239974)
大田 健 帝京大学, 医学部, 教授 (30160500)
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Keywords | トランスジェニックマウス / 特発性間質性肺炎 / C型肝炎ウイルス / core protein / envelope protein / シェーグレン症候群 / 肉芽腫 / サイトカイン |
Research Abstract |
特発性間質性肺炎(IIP)の病因の一つとしてHCVの関与を検討するためHCVのcore proteinおよびenvelope protein各々を強発現するトランスジェニックマウスを用いた研究を開始している。このcore proteinの強発現では肝炎から肝癌の発生を認め、envelope proteinの強発現ではシェーグレン症候群類似の唾液腺の炎症を惹起することが認められている。いずれのマウスも継代と各々のgeneの発現率が低いため十分なn数を揃えることが困難であったため,本年度はまずenvelope proteinの強発現マウスを用いて検討を行った。前年度から継続している加齢による肺の線維化の有無に関して検討したところ,病理学的なスコアーでワイルドタイプを対象とした場合にはいずれの月齢でも0.5〜0.9と1以下であった。一方でトランスジェニックマウスでは3ヶ月で1.5土0.2,13ヶ月で好中球,リンパ球の間質への浸潤を認め1.6土0.4,16ヶ月ではリンパ球と形質細胞を主体とする肉芽腫形成を一部に認め1.7土0.3,さらに18ヶ月では細胞内に器質化を伴う線維化を認め2.1土0.5であった。これらの線維化の変化がシリカのような線維化促進因子の投与なく自然の経過で認められたことよりHCVが人の疫学研究で認められたように肺の線維化に関与する重要な因子であることが示唆された。平成12年度ではこのマウスの系で研究をさらに進めるとともに最近我々が新たに検討しているHCV感染リンパ球を移入したSCIDマウスの系でも検討を進める。その線維化の過程でのサイトカインに関してもPDGF、TGF-β、IGF-1などについても検討する。
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