1999 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝子非翻訳領域異常による福山型筋ジストロフィー発症の分子機構に関する研究
Project/Area Number |
11670612
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
斎藤 深美子 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 助手 (10158917)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
戸田 達史 東京大学, 医科学研究所, 助教授 (30262025)
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Keywords | 福山型筋ジストロフィー / ISH法 / mRNAの動態 / 遺伝子非翻訳領域 |
Research Abstract |
常染色体劣性遺伝病の福山型筋ジストロフィー(FCMD)は,分担研究者の戸田らの研究により新規遺伝子が同定され,3'側の非翻訳領域に数種の反復配列を含むDNA断片(トランスポーザブル・エレメント)が挿入されていることが判明している.非翻訳領域でのDNA異常の場合、疾患発症の原因はタンパク異常では説明不可能で,理論的には遺伝子の転写時あるいは転写後の異常(つまりRNAレベルの異常)が考えられるため,FCMDに関して,転写後のRNAの動態およびその性状を検索する目的で,ISH法を行った.プローブとして用いたcDNAクローンは,(1)FCMD原因遺伝子の3'側非翻訳領域部分(挿入部位より上流の領域)(緑黄色),および(2)患者の遺伝子で検出される挿入DNA断片(赤色)を含むクローンで,Two-colorのin situハイブリダイゼーション(Two-color ISH)法により2色に色分けして行った.実験は,(a)創始者ハプロタイプ ホモ接合の患者(3Kb挿入断片をホモに持つ患者),(b)複合ヘテロ接合の患者(創始者ハプロタイプと他のDNA変異を有する患者)及び(c)正常対照者の各々のリンパ芽球細胞株由来の核標本を用いて行った.その結果,(1)DNA断片の挿入されているmutant allele由来のmRNAは,患者細胞核内では正常細胞核内での値に比較して低レベルにしか存在しないこと,(2)反復配列を含む挿入領域部分と相同性のある転写産物が,核内に多く存在することが示唆された.今後さらに詳細に検討すると共に,分子生物学的な他の手法によって別の側面からも検討する必要があると思われる.
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Sugimoto N.: "The human caspase-activated Dnase gene (hCAD): genomic structure, exonic single nucleotide polymorphisms, and a highly polymorphic dinucleotide repeat at the hCAD locus."Journal of Human Genetics. 44・6. 408-411 (1999)
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[Publications] 小原(斎藤)深美子: "「遺伝子・染色体検査学」"奈良信雄(医歯薬出版). 35