1999 Fiscal Year Annual Research Report
パーキンソン病と多系統萎縮症に共通するα-synucleinの蓄積と神経細胞死
Project/Area Number |
11670615
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
若林 孝一 新潟大学, 脳研究所, 助教授 (50240768)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 均 新潟大学, 脳研究所, 教授 (90206839)
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Keywords | パーキンソン病 / 多系統萎縮症 / α-synuclein / レビー小体 / グリア封入体 / アストロサイト / オリゴデンドログリア |
Research Abstract |
本年度はパーキンソン病(PD)と多系統萎縮症(MSA)におけるグリア封入体の出現に関し免疫組織化学的・電顕的検討を行った。その結果、PDでは30例中24例にα-synuclein陽性のグリア封入体が認められた。それらはコイル状の形態を呈し、しばしばユビキチン陽性であったが、タウならびにチュブリン陰性であった。二重免疫染色ではα-synuclein陽性の封入体を有するグリア細胞にはアストロサイトとオリゴデンドログリア由来のものが存在することが示された。電顕的に上記の封入体は25-40nm径のfilamentous structureから成っていた。グリア封入体は黒質の背内側部に好発する傾向があり、中脳被蓋部にも認められた。少数は青斑核を含む脳幹被蓋にも認められたが、他の部位には認められなかった。Incidental Lewy body diseaseおよび対照例にはグリア封入体は認められなかった。PDでは黒質における神経細胞脱落の程度とグリア封入体の数(一側黒質および半側中脳)の間に相関(Pく0.03およびPく0.001)が認められ、さらに罹病期間とグリア封入体の数(半側中脳)の間にも相関(Pく0.001)が認められた。一方、MSAではすべてのグリア封入体がα-synuclein強陽性を呈した。免疫電顕ではオリゴデンドログリア内の異常フィラメントにα-synucleinの反応性が認められた。 本研究から、グリア細胞におけるα-synucleinの異常蓄積は、MSAではオリゴデンドログリア内に生じ、中枢神経系に広範に分布しているのに対し、PDではアストロサイトとオリゴデンドログリア内に形成され、その出現には比較的長い経過を必要とし、中脳にほぼ限局して出現することが明らかにされた。
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