1999 Fiscal Year Annual Research Report
GDNF遺伝子組み込みアデノウイルスを用いたパーキンソン病遺伝子治療の試み
Project/Area Number |
11670628
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
柏原 健一 岡山大学, 医学部・附属病院, 講師 (80204387)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
阿部 康二 岡山大学, 医学部, 教授 (20212540)
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Keywords | パーキンソン病 / 遺伝子治療 / アデノウイルス / ラット / 黒質 / LacZ |
Research Abstract |
平成11年度はアデノウイルスベクターを用いて脳内で神経栄養因子を発現させる試みの予備的検討として、ラット脳内に大腸菌LacZ遺伝子を導入し、黒質における発現量および分布を経時的に検討した。 方法であるが、8週齢のSD系雄性ラットの黒質緻密部、内側前脳束、線条体に大腸菌LacZ遺伝子を組み込んだアデノウイルスを注入した。注入量は黒質背側では4×10^7pfu/4μl、内側前脳束、線条体では10^8pfu/4μlである。黒質背側へのベクター注入後8時間、1、3、7、14、28日後、内側前脳束注入時は3日後、線条体注入時には1、3、7、14日後に断頭し、LacZ遺伝子の発現量、分布を観察した。その結果、黒質緻密部へのベクター注入時の黒質におけるLacZの発現は、注入8時間後にはみられず、1日後に認められるようになり、3日後ピーク、以後28日後まで同様に続いた。発現は細胞の核に多く、胞体でも発現していた。線条体や対側黒質での発現はみられなかった。線条体、内側前脳束注入時にはその周辺での発現が認められたが、いずれも黒質での発現はみられなかった。一側ドパミンニューロン破壊後にLacZ遺伝子を導入すると、黒質での発現は有意に減少した。 以上の結果から、パーキンソン病根治治療を目的として黒質に遺伝子導入を試みる場合、導入部位としては黒質緻密部ないしこれに隣接する部位が適当であること、破壊が強い場合にはより多量の遺伝子を導入する必要があることが考えられた。
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