2000 Fiscal Year Annual Research Report
アポトーシス阻害タンパク、XIAPによるカスペース阻害メカニズムの研究
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11670655
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
高橋 良輔 理化学研究所, 運動系神経変性研究チーム, チームリーダー(研究職) (90216771)
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Keywords | アポトーシス / IAP / XIAP / カスペース3 / カスペース7 / BIR / RINGフィンガー / ユビキチンリガーゼ |
Research Abstract |
アポトーシス阻害タンパク(IAP)は昆虫からヒトに至るまでその構造と機能が良く保存されているアポトーシス抑制因子である。ヒトのIAPの一種で、既知のIAPの中で最も強力なアポトーシス阻害効果を示すXIAPはアポトーシスの実行に中心的な役割を果たすプロテアーゼ、カスペース3、7、9の阻害因子である。XIAPの構造上の特徴は、N末端側に3個繰り返しで存在し、IAPに特有の約70アミノ酸のbaculovirus IAP repeat(BIR)と呼ばれるモチーフと、C末端のRINGフィンガーモチーフの2つのモチーフである。以前我々はXIAPがカスペース3/7を阻害するのに必要な最小領域が2番目のBIRドメイン(BIR2)とその周辺であることを明らかにした。本研究費による研究によって我々はXIAPのBIR2とその周辺の領域によってカスペース3が活性中心依存的に、カスペース7が活性中心依存的・非依存的の混合型で阻害されることを見出した。一方RINGフィンガーモチーフの生理学的意義は長く不明であったが、最近、c-CblなどRINGファンガーモチーフを有する多くの蛋白質がユビキチンリガーゼであることが判明した。ユビキチンリガーゼは基質となる蛋白質と特異的に結合し、ユビキチン結合酵素と協力して、基質蛋白質をユビキチン化する酵素である。ユビキチン化された基質蛋白質はプロテアソームによって分解される。我々はXIAPがRINGファンガーでユビキチン結合酵素と相互作用し、BIR領域に結合したカスペース3をユビキチン化し、カスペース3の分解を促進するユビキチンリガーゼであることを示した。さらにこのユビキチンリガーゼ作用はXIAPがFas刺激による細胞死を抑制する作用を増強することを明らかにした。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] 高橋良輔,鈴木泰行: "内因性のカスパーゼ阻害因子、IAP"最新医学. 54. 861-867 (1999)
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[Publications] 後藤由季子,高橋良輔: "細胞死の分子メカニズム-多様性への理解"モレキュラーメディシン. 37. 384-390 (2000)
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[Publications] 高橋良輔: "IAPの作用メカニズムと神経細胞死防御"生体の科学. 51. 273-278 (2000)
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[Publications] Kawata A.,Kato S.,Shimizu T.,Hayashi H.,Hirai S.,Misawa H.and Takahashi R.:: ""Aberrant splicing of human Cu/Zn superoxide dismutase (SOD1) RNA transcripts""Neuroreport. 11. 2649-2653 (2000)
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[Publications] Imai Y.,Soda M.and Takahashi R.: ""Parkin suppresses unfolded protein stress-induced cell death through its E3 ubiquitin-protein ligase activity""J.Biol.Chem.. 275. 35661-35664 (2000)