1999 Fiscal Year Annual Research Report
Naチャネルのイオン選択性の調節:slip-modeの単一電流記録による検討
Project/Area Number |
11670663
|
Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
平野 裕司 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 助教授 (00181181)
|
Keywords | イオン選択性 / カルシウムイオン / Naチャネル / 電位依存性ブロック / 交感神経β受容体 |
Research Abstract |
Na電流のCaイオンによるブロックに注目し、ラット・モルモット単離心室筋細胞に単一電流記録法を適用してslip-mode説の妥当性を検討した。保持電位-120mVから脱分極によりNa電流を活性化すると、電極内液(細胞外液)Ca濃度0.1mMではテスト電位に応じてunitary currentがほぼ直線的に変化したが(140mM-Naで約22pS)、Ca濃度10mMではその振幅とslope conductanceが減少するのみならず(約10pS)、-50mVより深い電位でdriving forceの増加にかかわらず振幅が減少する"Caによる電位依存性ブロック"が観察された。Isoproterenol5μMの投与はモルモット・ラットいずれの細胞においてもチャネル開口確立(NPo)を増加させたが、0.1〜10mMのCa濃度で各テスト電位におけるunitary currentの振幅は不変であった。Veratridine投与によりNaチャネルの開口時間を延長させた場合においても、isoproterenol投与前後でunitary currentの振幅が不変であることが確認された。Β受容体刺激によりNPoの変化からNaチャネルの燐酸化が確認できた条件下においてもCaイオンはNaチャネルを電位依存性にブロックしていたことから、生理的な交感神経刺激によってnativeのNaチャネルがslip-modeに移行してCa流入に寄与する可能性は考えにくい。一方Lederer,KassらはNaチャネル発現実験でもslip-modeを観察し、このためにはβsubunitの存在がに不可欠であると報告している。これらの点についてはさらに検討が必要である。
|
Research Products
(1 results)