1999 Fiscal Year Annual Research Report
冠狭窄による慢性虚血心モデルにおけるリモデリングの発生病態の解明と治療への応用
Project/Area Number |
11670696
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Research Institution | Fukushima Medical University |
Principal Investigator |
丸山 幸夫 福島県立医科大学, 医学部, 教授 (90004712)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石川 和信 福島県立医科大学, 医学部, 助手 (80222959)
矢尾板 裕幸 福島県立医科大学, 医学部, 助手 (50264544)
前原 和平 福島県立医科大学, 医学部, 助教授 (90181817)
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Keywords | 冠動脈狭窄 / 慢性虚血 / ラット / リモデリング / ミトコンドリア / Ca過負荷 |
Research Abstract |
本研究の目的は、冠動脈近位部に設定した狭窄に基ずく慢性虚血心のラットモデルにおいて、心室リモデリングと心不全発症の病態を解明し、さらに薬物治療の可能性を探究することである。平成11年度は、冠狭窄ラットの12週間にわたる心エコー図による心機能の変化、心筋組織所見、カラードマイクロスフェアー法による心筋血流と冠予備能の評価、生物酸素モニターを用いた冠微小血管内皮機能と心筋酸素代謝の面から評価した。さらに、ミトコンドリアATP依存性Kチャネル(mitKATP)開口薬(diazoxide)、Na-H交換系(NHE)阻害薬(SMP300)の慢性投与によるリモデリング抑制効果について評価した。正常対照ラットに比してこのモデルでは、リスク領域での心筋血流量、冠予備能ともに減少、狭窄前に比して約1.5倍に左室拡張期径が増大、収縮が低下していた。また、リスク領域の線維化率は平均19%で、冠結紮による梗塞心(平均値で94%)と明らかに異なっていた。心筋ミトコンドリア酸素消費量は増大し、ミトコンドリアにおける酸素代謝異常が示唆された。ブラジキニンで刺激した際の冠血管内皮由来一酸化窒素(NO)の産生は低下していた。SMP300 20mg/kg/日の連日投与はリモデリングを抑制し、Ca過負荷の軽減が治療効果を発揮することが示唆された。一方、diazoxide 30及び60mg/kg/日の連日投与ではリモデリングを抑制できなかったが、mitKATP阻害薬(5-HD 30及び60mg/kg/日)投与ではむしろリモデリングは憎悪した。その機序として、このモデルでは慢性虚血によりすでにmitKATPは開口しており、さらにmitKATPを開口してもリモデリングは抑制されないことが示唆された。現在さらに、sarcolemmal KATP開口薬(nicorandil)の効果を評価しているところである。
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