1999 Fiscal Year Annual Research Report
肥大型心筋症の原因ならびに発症機序解明に関する分子遺伝学的研究
Project/Area Number |
11670721
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
中田 真詩 久留米大学, 医学部, 講師 (70180304)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡 直樹 久留米大学, 医学部, 助手 (00299421)
岩見 元照 久留米大学, 医学部, 講師 (90203405)
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Keywords | 肥大型心筋症 / 遺伝子変異 / トロポニンT / βミオシン重鎖 / 荷電変化 |
Research Abstract |
肥大型心筋症は、病因として8種の心筋収縮蛋白の遺伝子変異が報告されているが、変異毎の臨床像は未だ十分解明されていない。本検討ではβミオシン重鎖(βMHC)とトロポニンT(TnT)遺伝子変異例の臨床像を検討した。同疾患患者から同意を得た後採血し、ゲノムDNAを抽出した。PCR-SSCP法でスクリーニングし、SSCP陽性例はシークエンスで変異を確認した。解析はβMHC 34名、TnT 28名について行い、さらに各々の群を荷電変化の有無により2群に分けた。初診時の解析では、TnT群はβMHC群に比し心筋肥厚が軽度(TnT vs βMHC;18.0±4.2 vs 23.4±6.6mm)で流出路狭窄は少なかった。またTnT群は、拡張末期径がβMHC群に比し大であり(同;47.4 vs 41.9mm)、%FSはより低値であった(同;32.8 vs 39.2%)。長期観察では、両群とも左室径の増大を伴う心収縮力低下と心筋壁厚減少を認めた。特に両群とも荷電変化を伴う群では、拡張相への移行や疾患関連死が高率であった。心筋シンチグラフィは、βMHC 12例、TnT 7例に施行した。βMHC群では一過性灌流欠損が83%に認められたのに対し、TnT群では85%に再分布を認めた。以上からβMHC群は肥大が高度で流出路狭窄が高率にみられ、肥大が原因と推測される心筋虚血が高率であることが判明した。またTnT例は心筋肥厚は比較的軽度だが左室収縮能低下例が多く、心筋シンチグラフィで再分布が高率であった。両群とも荷電変化を伴う変異は予後不良であった。TnT群での再分布の由来は不明であるが、再分布は正常心筋と心筋壊死部とが混在している所見であると報告されており、TnT例での心筋収縮能低下との関連が推測された。
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[Publications] 中田真詩,古賀義則: "特発性心筋症と特定疾患"日本臨床. 58. 7-11 (2000)
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[Publications] Nakaura H,Nakata M et al: "Functional changes in troponin T by a splice donor site mutation that causes hypertrophic cardiomyopathy."Am J Physiol. 277(2). C225-C232 (1999)
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[Publications] Oka N,Nakata M et al.: "Upregulation of caveolin in rat heart during development."J Card Fail. 5(3). 57 (1999)
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[Publications] Kikuchi T,Nakata M et al.: "Regulation of caveolae in hypertrophied cardiac myocytes induced by α1-adrenergic stimulation."J Mol Cell Cardiol. 31(11). A180 (1999)
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[Publications] Yamamoto M,Oka N et al.: "Downregulation of caveolin expression by cAMP signal."Life Sci. 64(15). 1349-1357 (1999)
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[Publications] Nakaura H,Nakata M et al: "Functional changes in troponin T by a splice donor site mutation that causes hypertrophic cardiomyopathy."Ciruculation. 100(18). I-268 (1999)