1999 Fiscal Year Annual Research Report
心房細動の慢性化に及ぼす組織アンジオテンシン系の役割と治療への応用
Project/Area Number |
11670725
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
熊谷 浩一郎 福岡大学, 医学部, 講師 (10248510)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
出石 宗仁 福岡大学, 医学部, 助教授 (20131807)
浦田 秀則 福岡大学, 大学病院, 講師 (30289524)
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Keywords | アンジオテンシン / 心房 / リモデリング / 細動 |
Research Abstract |
【目的】アンジオテンシンII(AngII)受容体拮抗薬が心血管保護作用を有することは知られているが、心房の電気生理学的特質に対する作用は不明である。そこで心房の電気的リモデリングに及ぼすAngII受容体拮抗薬(candesartan)の効果を検討した。 【方法】雑種成犬18頭を用い、2本の電極カテーテルを高位右房と右心耳に留置した。右心耳の心房有効不応期(ERP)を基本周期200、300、400msで測定後、高位右房より800/分の高頻度心房ペーシングを3時間持続した。ERPはペーシング中60分毎に、停止後10分毎に30分間測定した。生理食塩水(8頭)、candesartan(5頭)、AngII(5頭)を高頻度ペーシング30分前より開始し、試験終了まで持続投与した(149±11から132±16ms,p<0.01)。control群(11±9%)とAngII群(11±3%)間でERP短縮率に有意差はなかった。しかし、candesartan群では高頻度ペーシング後のERP短縮が完全に抑制された(142±9から147±12ms,p=NS)。さらにcontrol群ではペーシングによるERP短縮率は基本周期が長いほど大であった(rate adaptationの消失)が、candesartan群ではこの現象は保たれていた。 【総括】AngIIは心房の電気的リモデリングに関与していると考えられた。AngII受容体拮抗薬は心房の電気的リモデリングを抑制するため、心房細動の慢性化予防に有効である可能性が示唆された。
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