2000 Fiscal Year Annual Research Report
心血管危険因子是正のための運動療法が酸化ストレスに対する防御機構に与える影響
Project/Area Number |
11670726
|
Research Institution | University of Occupational Health and Environmental Health |
Principal Investigator |
池田 正春 産業医科大学, 産業生態科学研究所, 教授 (40078770)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
南里 宏樹 産業医科大学, 産業生態科学研究所, 助教授 (80150415)
|
Keywords | 有酸素運動 / 酸化的ストレス / 防御機構 / TBARS / 過酸化脂質 / グルタチオンペルオキシダーゼ |
Research Abstract |
本研究は有酸素運動が心血管系に対し臓器保護的に働くか否かを酸化的ストレスとその防御機構の観点から明らかにすることを目的としているが、本年度は運動指導の脂質酸化に及ぼす影響及び過酸化脂質と抗酸化物質の関連や心血管危険因子との関連について調べ、以下の結果を得た。 1.我々は3ヶ月間の運動・栄養指導による生活習慣修正指導が、高血圧、高脂血症、肥満などの生活習慣病の改善に効果的があることを示してきた。脂質の過酸化は、それによって生じるラジカルの作用により動脈硬化、高血圧及び発癌など様々な生活習慣病に関与していることが示唆されている。今回、運動・栄養指導が脂質過酸化の指標の一つであるチオバルビツール酸反応物質TBARS(thiobarubituric acid-reactive substance)に及ぼす効果について解析した。 (1)3ヶ月間の指導によりBMI、最大酸素摂取量、及び総コレステロール/HDLコレステロール比の改善を認めた。 (2)また脂質過酸化の指標であるTBARSは3ヶ月間の指導により有意に低下したが3ヶ月間の指導前後のTBARSの減少量と生活指導への参加回数の間には有意な正の相関関係を認めた。 以上3ヶ月間の生活習慣修正指導が、TBARSの改善に大きく関与しているとことを示唆する結果を得た。 2.次に過酸化脂質と抗酸化物質の関連につき調べた。今までに運動と抗酸化酵素の一つである血漿グルタチオンペルオキシダーゼに関しての報告はみないが今回血漿グルタチオンペルオキシダーゼの量は運動群で有意な低下を認める結果を得た。 3.過酸化脂質と心血管危険因子との関連について調べたところTBARSはW/H比(ウエストヒップ比)は内臓脂肪の量を表す指標といわれると有意の関連を認めた。またTBARSとインスリン抵抗性は正の相関を認めた。なお中性脂肪とTBARSの間には有意な相関を認め、総コレステロールとTBARSとの間には正の相関関係の傾向を認めた。
|
Research Products
(6 results)
-
[Publications] Nanri,H.Ikeda,M.: "Induction of Apoptosis in Placenta of Pregnant Mice Exposed to Lipopolysaccharides : Possible Involvement of Fas/Fas Ligand System"Biology of Reproduction. 62. 178-185 (2000)
-
[Publications] Nanri,H.,Ikeda,M.: "Expression of mitochondrial thioredoxin-dependent antioxidant protein, SP-22, in normal human and inflammatory mouse placentas"Placenta. 21(8). 847-852 (2000)
-
[Publications] Ikeda,M.Nanri,H.: "Integrative Efects of Nitric Oxide and EDHF Induced by Acetylcholine and Bradykinin in Rat Hindquarter Perfusion."Nitric Oxide : Biology and Chemistry. 4(4). 354-362 (2000)
-
[Publications] Ikeda,M.Nanri,H.: "Evaluation of the Effects of Exercise and a Hypocaloric Diet on Cardiovascular Risk Factors in Obese Subjects."J.UOEH. 23(1). 1-12 (2001)
-
[Publications] 太田雅規,池田正春: "運動の高血圧予防と治療における役割"臨床成人病. 30(9). 1133-1140 (2000)
-
[Publications] 佐藤裕司,池田正春: "運動不足と高血圧"血圧. 8(1). 43-48 (2001)