2000 Fiscal Year Annual Research Report
川崎病における単球遊走活性化因子MCP-1の病態生理的役割とNF-_kBによる制御
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11670740
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
寺井 勝 千葉大学, 医学部・附属病院, 講師 (80207472)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
地引 利昭 千葉大学, 医学部・附属病院, 医員
小穴 慎二 千葉大学, 医学部・附属病院, 助手 (80292704)
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Keywords | 川崎病 / MCP-1 |
Research Abstract |
川崎病は乳幼児に発症する原因不明の血管炎である.血管炎の主病変は冠動脈で,ガンマグロブリン治療をしないと4人に1人が冠動脈瘤を合併し,死亡するものも少なくない.当該研究者は,川崎病患者において,血中のマクロファージ遊走活性化因子MCP-1が多くの症例で急性期に増加していることを報告してきた.組織においてもMCP-1が発現していることを見出した.しかしながら,川崎病患者間におけるMCP-1の産生にばらつきがみられることより,MCP-1産生にMCP-1遺伝子の制御領域の遺伝子多型が関連していないかを検討した.MCP-1をコードする遺伝子の転写開始部位から2518塩基上流のアデニン(A)とグアニン(G)の変異がMCP-1の産生に関連することがin vitroで報告されており,成人日本人(ボランテイア)および川崎病患者におけるこの遺伝子多型を検討した.その結果,明かな民族差が存在することが判明した.日本人はG alleleを高率に有する民族であり,G allele frequencyは68%であった.すなわち,他人種に比して,日本人はMCP-1を産生しやすい人種であることが判った.そこで,in vitroにおいて,日本人ボランテイアの単核球によるMCP-1の産生をみたところ,G a11ele carrierが統計学的に有意な差をもってMCP-1を大量に産生することが判った.さらに急性期川崎病では, G a11ele carrierがAA homozygousよりもMCP-1を大量に産生することが判った.また,G allele carrierに冠動脈瘤を併発する傾向がみられ,現在も継続検討している.こうした遺伝的背景が川崎病の病態を修飾していることが判明した.
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Research Products
(1 results)
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[Publications] Rowley AH,Shuluan ST,Maek CA,Finn L,Terai M et al.: "IgA plasma cell infiltration of upper respiratory tract,pancreas, Kidney and coronary artery in acute Kawasaki disease."J Infect.Dis. 182(4). 1183-1191 (2000)