1999 Fiscal Year Annual Research Report
ナイーブT細胞の分化制御因子の解析とアレルギー性疾患の発症予測の試み
Project/Area Number |
11670748
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Research Institution | 福井医科大学 |
Principal Investigator |
大嶋 勇成 福井医科大学, 医学部, 助手 (40303391)
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Keywords | アレルギー / ナイーブT細胞 / Th1 / Th2 / IL-12 / IL-13 / 臍帯血 |
Research Abstract |
ナイーブT細胞のTh1/Th2細胞への分化能とアレルギー性疾患発症との関係を解析するため、臍帯血よりCD4陽性T細胞を分離し抗CD3抗体とB7で刺激する方法の有用性を検討した。臍帯血より高純度のCD4陽性細胞を短時間で効率良く分離する方法を確立し、Th1タイプのサイトカインとしてIFN-γを、Th2タイプのサイトカインとしてIL-13をELISAにより測定可能であることを確認した。この方法で初回刺激時に産生されるIFN-γ、IL-13濃度は、刺激後IL-2で増殖させた後に再刺激を行った場合のIFN-γ、IL-4産生能とそれぞれ相関が見られたことよりTh1/Th2細胞への分化傾向の指標として利用できることが判明した。 これらの予備実験の結果をふまえ正常満期で出生した106名の新生児の臍帯血からCD4陽性T細胞を分解して刺激を加えた。その結果、臍帯血によってIFN-γの産生が優位なもの、IL-13の産生が優位なものが存在し、Th1、Th2への分化傾向が臍帯血によりことなることが明らかとなった。さらに、Th1細胞への分化に重要なIL-12を刺激時に加えるとIL-13産生は抑制され、IFN-γ産生は増強されるが臍帯血によってはIL-12への反応が弱く、IL-12存在下においても大量のIL-13を産生するものが存在することが明らかになった。 現在、臍帯血にみられたサイトカイン産生パターンの違いとIL-12への反応性の差とが、臍帯血ドナーである新生児のアレルギー性疾患家族歴と関連するか否かの解析を開始している。今後、1年後を一つの目安としてアトピー性皮膚炎や食物アレルギーの発症との関連性の追跡調査を行う予定である。また、臍帯血より分離した血清を用いIgEを測定し胎内感作との関係も解析する計画である。
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[Publications] 大嶋勇成: "Th2細胞への分化とOX40/OX40L"臨床免疫. 31巻5号. 513-518 (1999)
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[Publications] 大嶋勇成: "Th1/Th2理論と小児アレルギーの発症予防"現代医療. 31巻増刊II. 1291-1296 (1999)
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[Publications] 大嶋勇成: "食物アレルギーの免疫療法"小児科臨床. (印刷中). (2000)
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[Publications] Ohshima, Y: "OX40-mediated cosignal enhances the maturation of naive human CD4+T cells into high IL-4 producing effectors"Int Arch Allergy. 118. 384-386 (1999)
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[Publications] Ohshima, Y: "Naive human CD4+T cells are a major source of lymphotoxin α"J Immunol. 162. 3790-3794 (1999)
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[Publications] 大嶋勇成: "Annual Review 免疫 2000 樹状細胞の分化とTNF/TNFRファミリー分子"中外医学社. (1999)