1999 Fiscal Year Annual Research Report
タンデム型質量分析計による新生児代謝異常症マススクリーニング法の研究
Project/Area Number |
11670749
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Research Institution | 福井医科大学 |
Principal Investigator |
重松 陽介 福井医科大学, 医学部, 教授 (80162593)
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Keywords | 新生児マススクリーニング / タンデム型質量分析計 / アミノ酸代謝異常 / 有機酸代謝異常症 / 尿素サイクル異常症 |
Research Abstract |
現行の新生児マススクリーニングが内分泌疾患2種と代謝異常症4種を各々異なった方法を使って行われるのに対して、タンデム型質量分析計を使ったマススクリーニングでは、1つの方法で、現行の3種のアミノ酸代謝異常症も含め、更に一群の尿素サイクル異常・有機酸(脂肪酸)代謝異常症を網羅的にスクリーニングできる。逆に言うと、網羅的であるため、早期診断しても治療が困難な疾患もスクリーニングされてしまう問題もある。これに対して、特に分析アミノ酸の種類を限定する設定を検討し、治療困難な疾患を除外する方法を確立した。持続的なシトルリン低値を指標にして尿素サイクル異常症を精度よくスクリーニングするために、定量に必要な内部標準物質として、重水素標識シトルリンを合成した。これを使用して現在約9000検体ほど分析した段階で、再検率0.15%程度で要精検者をスクリーニングしているが、患者はまだ発見できていない。 当該スクリーニング法は大量検体処理が可能である。この特徴を更に生かすため、まず、前処理法におけるマルチプレートを使用したバッチ処理での器具の改良を行った。次に、質量分析計による分析時間の短縮のために、分析プログラムを改良した。これにより、人員2名で、目標である15万検体/年/台の処理が計算上可能となった。ただし、現在使用しているタンデム型質量分析計は最新の他の機種に比べ経年劣化し易く、機器性能を維持するのが次第に困難になりつつある。 平成12年1月現在、45,000検体を分析し、プロピオン酸血症1例を見いだし、早期治療によりほぼ良好な成長発達が得られている。後方視的な分析では、一部の極軽症例を除き、対象疾患は現在の方法とカットオフ値でスクリーニング可能であることが判明しており、スクリーニングの有用性を確証するためにパイロットスタディを更に拡大する予定である。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Shigematsu, Y: "Modifications in electrospray tandem mass spectrometry for a neonatal-screening pilot study in Japan."J Chromatr B Biomed Sci App. 731. 97-103 (1999)
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[Publications] 重松陽介: "Tandem mass spectrometerによるアミノ酸および有機酸代謝異常症のスクリーニング"小児科. 40(10). 1233-1237 (1999)