1999 Fiscal Year Annual Research Report
先天性心疾患モデルラットの全胚培養による冠動脈奇形発生関連因子と成立機序の解明
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11670756
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Research Institution | Shiga University of Medical Science |
Principal Investigator |
中川 雅生 滋賀医科大学, 医学部, 講師 (40188909)
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Keywords | ビスダイアミン / 全胚培養 / 冠動脈原基 / 動脈幹分割 / 冠血管 / V-CAM / 心外膜 |
Research Abstract |
1.胎生11.5日から17.5日のWisterラット胎仔を母ラットから摘出し、冠血管の発生時期を組織学的に検索した。組織切片上で冠血管の存在が確認できたのは胎生15.5日以後であった。そこで、妊娠10.5日のWister系母ラットにビスダイアミン200mgを経口投与し、胎生15.5日から17.5日の胎仔で冠血管の分布を検索したところ、その分布はコントロールに比して粗であった。 2.1.で得られた組織切片を血管内皮のマーカー(V-CAM、bFGF、テネイシン)で免疫染色した。ビスダイアミン投与ラットでは動脈幹と冠動脈原基との連続性がみられず、動脈幹内皮でV-CAM発現は減弱していた。コントロールでは心膜が心筋と接近することで血管叢が形成されたが、ビスダイアミン投与ラットでは認められず、V-CAM、bFGF、テネイシンの発現は減弱していた。心筋は菲薄で類洞が深く嵌入していた。 3.1.と同様の方法でビスダイアミンを投与し、投与終了3時間後に屠殺、速やかに子宮を摘出した後、New(1973)の方法により24匹の全胚培養を開始した。実体顕微鏡下で、動脈幹周囲及び心室壁の形態を経時的に観察し、コントロールと比較した。15匹の胎仔で動脈幹分割前に心室腔の拡大と流出路の極端な蛇行が認められた。連続切片を作製し、組織学的に冠動脈原基の位置を検索したがその存在を認めることはできなかった。 以上より、(1)ビスダイアミン投与ラットでは動脈幹形態の異常に伴い動脈幹分割の異常が生じ、これにより冠動脈原基の位置異常が生じる、(2)心外膜の発生異常により冠血管発生と分布の異常を生じる、ことが示唆された。次年度には、ビスダイアミン投与ラットとWKY/NCrjラットにおいて、冠血管発生と神経堤細胞のマーカーを共焦点型レーザー顕微鏡(BioRad MRC 600)で観察し、その分布について三次元的に検討する。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] Hidetoshi Fujino: "Immunohistochemical distribution of HNK-1 and N-CAM in rat embryos treated with bis-diamine"Congenital Anomalies.. 39・4(in press). (2000)
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[Publications] Setsuko Nishijima: "Teratogenic effect of bis-diamine on early embryonic rat heart: an in vitro study"Teratology.. (in press). (2000)
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[Publications] Masahiko Okuno: "Expressional patterns of cytokines in a murine model of acute myocarditis: early expression of cardiotrophin-1"Lab Invest.. 80・3(in press). (2000)
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[Publications] Masao Nakagawa: "Tetracuspid aortic valve associated with a 22q11.2 microdeletion"Am J Med Genet.. (in press). (2000)
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[Publications] Masao Nakagawa: "Ebstein's anomaly associated with trisomy 9p"Clin Genet. 55・5. 383-385 (1999)
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[Publications] Masao Nakagawa: "Doppler echocardiographic evaluation of the hemodynamics in absent aortic valve"Can J Cardiol. 15・11. 1283-1286 (1999)
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[Publications] Masao Nakagawa: "Etiology and Morphogenesis of Congenital Heart Disease. Clark EB, Markwald RR, Takao A, Nakazawa M eds"Futura Publishing Co. (2000)