2000 Fiscal Year Annual Research Report
先天性心疾患モデルラットの全胚培養による冠動脈奇形発生関連因子と成立機序の解明
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11670756
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Research Institution | Shiga University of Medical Science |
Principal Investigator |
中川 雅生 滋賀医科大学, 医学部, 講師 (40188909)
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Keywords | 冠動脈 / 共焦点型レーザー顕微鏡 / 神経堤細胞 / 全胚培養 / ビスダイアミン / WKY / NCrj ラット |
Research Abstract |
#ビスダイアミン投与時期を変えることで生じる心血管奇形および冠動脈異常の形態的な差と神経堤細胞誘導因子と血管組織成長因子発現パターンとの関係の解明 1.妊娠10.5日のWister系母ラットにビスダイアミン200mgを胃ゾンデにて注入した。全胚培養下で、動脈幹分割前、動脈幹分割時、心室中隔形成時を確認し、動脈幹周囲の神経堤細胞誘導因子(N-CAM)と血管組織成長因子(テネイシン、V-CAM)の発現を三次元的に観察した。動脈幹周囲のN-CAM発現はいずれの時期でも粗であり、明らかな連続性や塊としての存在は確認できなかった。また、テネイシンXとV-CAMの発現は全く認めなかった。 2.妊娠10.5日のWKY/NCrjラット胎仔についても同様の観察を行ったが、N-CAM、テネイシン、V-CAMの発現はビスダイアミン投与ラットと差はみられなかった。心外膜や心室壁におけるテネイシンとV-CAMの発現は心室中隔形成時にはみられ、これはビスダイアミン投与ラットでの発現より早く、コントロールと差がなかった。 3.妊娠10,11,12日にビスダイアミンを投与し、新生仔の心血管奇形について形態的に検討した。妊娠10日に投与した新生仔では全例で大動脈弓の異常があったが動脈幹分割異常はなく、妊娠11日に投与した群では93%に、妊娠12日に投与した群では32%に動脈幹奇形がみられた。しかし、冠動脈の奇形は妊娠10日のものではみられず、動脈幹分割異常を認めた妊娠11日と12日ではこの頻度に比例して認められた。 以上より、動脈幹分割の異常と冠動脈奇形の発生には深い関連性のあることが明らかとなったが、動脈幹周囲における冠動脈原基の発生に神経堤細胞が関与するかどうかを明らかにすることはできなかった。冠動脈原基がいかに発生するか、心臓発生における大きな課題であり今後検討してみたい。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] Masao Nakagawa: "Teratogenic effect of bis-diamine on embryonic rat heart"Cong Anom. 40. 157-161 (2000)
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[Publications] Masao Nakagawa: "Tetracuspid aortic valve associated with a 22q11.2 microdeletion"Am J Med Genet. 93・(1). 74-75 (2000)
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[Publications] Setsuko Nishijima: "Teratogenic effect of bis-diamine on early embryonic rat heart : an in vitro study."Teratology. 62・(2). 115-122 (2000)
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[Publications] Masahiko Okuno: "Expressional patterns of cytokines in a murine model of acute myocarditis : early expression of cardiotrophin-1."Lab Invest. 80. 433-440 (2000)
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[Publications] Kumiyo Yagi-Ono: "Absent right superior caval vein associated with partial trisomy 18"Hereditas. 132. 255-256 (2000)
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[Publications] 中川雅生: "今求められる心臓発生、心奇形発生に関する研究のさらなる展開"日小循誌. 15・(5・6). 646-647 (2000)
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[Publications] Masao Nakagawa: "Etiology and Morphogenesis of Congenital Heart Disease, Clark EB, Markwald RR, Takao A, Nakazawa M eds."Futura Publishing Co (分担執筆). 389 (2000)