1999 Fiscal Year Annual Research Report
HIVのVpu蛋白質によるプロテアソーム依存性CD4分解の機序に関する研究
Project/Area Number |
11670786
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
藤多 和信 昭和大学, 医学部, 助教授 (60173423)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
飯倉 洋治 昭和大学, 医学部, 教授 (30056882)
吉田 英生 昭和大学, 医学部, 助手 (50301510)
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Keywords | HIV / CD4 / プロテアソーム / 蛋白分解 |
Research Abstract |
目的:HIVがコードするVpu蛋白質はtypeIの膜蛋白質で、同様にC-末端を細胞質側に出すCD4と小胞体で結合する。この細胞質領域同士の結合がシグナルとなり、CD4の分解が促進される。このCD4の分解には細胞質に存在するプロテアソームが関与している。小胞体内にはプロテアソームは存在しない。また、CD4は、その構成アミノ酸の約6割は小胞体内に存在する蛋白質である。細胞質のプロテアソームがCD4の細胞質領域を認識し、CD4分子全体を分解する機序について、特に、ユビキチン化の関与、CD4の構造が及ぼす影響について検討した。 方法:CD4およびHIVのEnv,Vpuを発現するべクターをHeLa細胞にtransfectionし、35S-methionineで細胞を標識し(pulse-chase法)、細胞抽出液中のCD4を抗体で沈降させ、ゲル泳動してCD4を定量した。 結果:CD4の細胞質領域には4箇所にリジンが存在するが、すべてのリジンをアルギニンに置換したCD4もプロテアソーム依存性に分解された。ゆえに、CD4の細胞質領域のユビキチン化はCD4の分解に関与しない。 Vpuの細胞質領域には2箇所にリジンが存在する。同様にアルギニンに置換した場合でもCD4の分解が起こることより、Vpuのユビキチン化もCD4の分解に関与しない。CD4の細胞質領域のαへリックス構造を破壊するようなアミノ酸置換のいくつかは、Vpuとの結合を保っているがCD4のプロテアソーム感受性を消失させた。 考察:CD4の分解にはユビキチン化は関与せず、ユビキチンを介さずにプロテアソームで分解される膜蛋白質は他に例がない。CD4の細胞質領域の構造がプロテアソーム感受性の決定因子の1つであることから、プロテアソームによる標的蛋白質の認識、分解機構の解明に、本モデルは新たな知見を与えると期待される。
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