2001 Fiscal Year Annual Research Report
神経芽腫の集学治療における末梢血幹細胞・リンパ球・樹状細胞による細胞療法の開発
Project/Area Number |
11670804
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
江口 春彦 久留米大学, 医学部, 講師 (50213541)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長井 孝二郎 久留米大学, 医学部, 助手 (50299476)
稲田 浩子 久留米大学, 医学部, 助手 (90223221)
安藤 昭和 久留米大学, 医学部, 助手 (80222777)
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Keywords | 末梢血幹細胞移植 / 小児固形腫瘍 / 細胞障害性T細胞 / 樹状細胞 / CD34陽性細胞純化 / 細胞性免疫 |
Research Abstract |
平成13年度に予定した神経芽腫患者腫瘍細胞に対する特異的CTL活性、並びに樹状細胞を用いた腫瘍特異的細胞障害活性の検討が、患者発生が無く行うことが出来なかったため以下を検討した。【1】小児固形腫瘍に対する多回PBSCTの臨床的検討を行った。この2年間に8症例(脳腫瘍5例、PNET2例、網膜芽細胞腫1例)に対して複数回(2〜3回)PBSCTを行った。 採取PBSC数は、中央値15.1(5.0〜44.8)×10^6/kgと複数回の移植に十分な数が採取出来た。 移植後の造血能回復はいずれも良好で、白血球数>1000/μl、好中球数>500μl、血小板数>5万/μlに要した日数は、各々中央値11日、11日、23日であった。8例中1例が再発死亡、1例が再発生存、残る6例は無病生存中である。早期(薬剤感受性が高い時期)よりPBSCTを前提とした大量化学療法を導入することで薬剤耐性腫瘍細胞クローンの出現を押さえられ、再発率の低下につながることが期待される。【2】骨髄浸潤を有する2症例(PNET1例、網膜芽細胞腫1例)において、治療開始前に採取した末梢血単核球から得られる付着細胞をGM-CSFとIL-4の存在下で7日間培養し作製した樹状細胞で、PBSC中に含まれるリンパ球を刺激することにより、IL-2存在下で培養後、K562(白血病細胞株)、COS-7(正常さる細胞株)に対する非特異的な細胞障害活性が高まることが認められた。【3】初年度4回のCD34純化PBSCTを行った神経芽腫症例(VZV脳炎合併例)での細胞性免疫能の回復を追った。リンパ球幼弱化反応は、移植後12ヶ月以内は低反応が続き、CD4陽性細胞数も500/μl以上に回復するのに30ヶ月を要した。リンパ球が除かれるCD34純化PBSCTでは細胞性免疫の回復が遅延することが認められ、細胞免疫療法を組み込むことが望ましいと思われる。
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[Publications] Hiroko Inada: "Cryopreservation and Engraftment Potential of Peripheral Blood Stem Cells : Pediatric Eperience"Kurume Medical Journal. 48・2. 151-157 (2001)
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[Publications] 大園秀一, 江口春彦 他: "4回のCD34純化末梢血幹細胞移植後にVZV脳炎を合併した例"日本小児血液学会雑誌. (in press). (2002)